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暑くて湿度が高い季節に多いのが食中毒だ。中でも自然界に広く分布しているサルモネラ属菌は、食中毒を起こす代表的な細菌として知られている。毎年6~9月の気温が高い時期になると急激に患者が増え、厚生労働省の2017年の調査では、全国で約1200人の患者が報告されている。荏原病院(東京都大田区)の大西健児副院長は「サルモネラ属菌による食中毒は、日ごろのちょっとした注意で防ぐことができます」と話す。
▽肉や卵、は虫類からも
サルモネラ属菌は、牛や豚、鶏といった、私たちが食用にしている動物の消化管にすみついている。また、川や湖、下水にも分布する。動物には症状が出ないが、汚染された生の肉や加熱不十分な肉を人が食べると、おおよそ8~72時間の潜伏期間を経て、吐き気や嘔吐(おうと)、激しい下痢や腹痛、発熱などの症状が表れる。大西副院長は「汚染された肉を切った包丁やまな板に菌が付着し、二次的な感染を引き起こした例もあります」と指摘する。
肉は中までしっかり火を通して
鶏の場合、卵巣や卵管にもサルモネラ属菌がいることがあり、形成時に汚染された卵を、生で食べて感染することもあるという。また、カメ類を含むは虫類がサルモネラ属菌を保有しているケースも多い。「特に子どもは、飼育しているカメに触った手を、無意識に口に持っていくことが多く、そこから感染します」と大西副院長。
▽水分補給と安静を
サルモネラ属菌による食中毒は、水分補給と安静を心掛ければ、一般的に3~4日程度で症状は改善する。ただし、高齢者や子ども、抗がん剤治療などで免疫力が低下している人、人工関節などが体内に入っている人は、合併症を引き起こすリスクが高まるため、抗生物質を服用する場合もある。
「症状が落ち着いても、人により2~4週間、便中に菌が排出されることがあります。調理業務に従事する人は、症状が落ち着いた後に再度、便の検査をしてサルモネラ属菌の排出が無いことを確認した方がいいでしょう」と大西副院長は助言する。
予防には、調理前に手洗いを徹底するのは言うまでもない。まな板や包丁は、できれば肉と野菜用に使い分け、使用後はすぐに洗剤で洗う。生鮮食品は購入したら、菌を増やさないためにすぐに冷蔵庫に保存するとよい。
大西副院長は「どんな肉でも、サルモネラ属菌に汚染されることがあります。肉類は必ず中心まで火を通してください。卵の生食は新鮮なものに限ることと、ペットのは虫類を触った後はしっかりと手を洗うことも忘れずに」と重ねて強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/07/23 16:38)
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