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ロキタンスキー症候群は、子宮と腟の一部または全てが欠損する先天性の病気だ。通常であれば中学生くらいまでに訪れる初潮が、高校生になっても来ないと親に付き添われて来院し、判明するケースが多い。立川病院(東京都立川市)産婦人科の木須伊織医長は「ロキタンスキー症候群は、自分の体で子どもをつくることはできませんが、今は腟を作る造腟手術も行われていますし、子どもを得る方法についても議論がされています」と話す。
子どもを得る方法について議論が進められている
▽腹膜利用の造腟手術
ロキタンスキー症候群は、女児の4500人に1人の割合で発症すると言われている。胎児期に卵管や子宮、腟のもととなるミュラー管が発達しないために起こるとされるが、詳しい原因は分かっていない。木須医長によると、新規患者は年間で110~120人はいるとみられる。「まれに腎臓や骨格などの奇形を合併することがありますが、大半は子宮と腟がない以外は健康です」と説明する。卵巣は正常に機能し、女性ホルモンの分泌や排卵も起こる。
ところが、異性との付き合いが出てくると、どうしても性行為の問題が浮上する。同院ではこの問題を解決する方法として、造腟手術を行っている。「造腟手術にはさまざまな方法がありますが、当院では患者の体への負担が少ない、腹膜を利用した術式を採用しています」と木須医長。治療前後のサポートにも時間をかけており、問題なく性生活を送ることができるようになり、結婚している人もいるという。
▽子宮移植に向けて
ロキタンスキー症候群の患者が子どもを得る方法としては、代理母出産や特別養子縁組がある。代理母出産は法的には禁止されていないが、日本産科婦人科学会では原則禁止としていて、子どもの福祉面を考えると課題も多い。特別養子縁組も可能だが、自分たちの遺伝子を引き継いだ子ではない。
今、盛んに議論されているのが、出産目的のための子宮移植だ。海外ではロキタンスキー症候群患者58例に対して子宮移植が行われ、うち14例が既に出産しているという。代理母と違い自分で産むため、民法上も自分の子どもとなる。
ただし問題点もある。子宮の提供者の体にメスを入れることになるので身体的負担は大きい。腎移植や肝移植と違って直接生死に関わるものではないので、そこまで行う必要があるのかという倫理的な問題も出てくる。
木須医長は「ロキタンスキー症候群の患者や、病気で子宮を摘出した人たちが子どもを得る選択肢の一つとして、日本でも子宮移植が実現することを願っています」と語っている。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/09/19 07:00)
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