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肺に炎症を起こして呼吸機能が低下する慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)と、歯周病との関係が報告され、注目されている。東京歯科大学市川総合病院(千葉県市川市)呼吸器内科部長の寺嶋毅教授に聞いた。
▽口腔ケアがCOPD悪化を防ぐ
COPDを発症する最大の原因は喫煙だ。せきやたん、息切れなどを引き起こす肺の炎症性疾患であると同時に、糖尿病、心筋梗塞などの心血管疾患、消化器疾患、骨粗しょう症などを伴うことが多く、全身の炎症性疾患と捉えられている。
一方、歯周病を発症すると、歯周病菌が血管内に侵入し、糖尿病や心血管疾患などの全身疾患の発症や悪化と密接に関連することが報告されている。
つまり、COPDと歯周病はともに、全身の慢性炎症が関与しており、多臓器の併存疾患が多いわけだが、研究が進む中で、この二つの疾患の関連性が明らかになってきた。
「当院の調査で、歯周病の有病率は非COPD喫煙者の25.6%に対し、COPD患者では70.0%と明らかに高く、残存歯数も少ないとの結果が得られました」と寺嶋教授。
理由は明らかではないが、「肺の慢性炎症が全身に波及し、歯肉の炎症に関連している可能性があります。また、COPD患者は、1日に歯を磨く回数や歯科受診回数が少ないなど、口腔(こうくう)内を清潔にする習慣が乏しいという報告があり、健康への意識が低いことも背景にあると考えられます」と話す。
COPD患者で歯垢(しこう)と歯石を定期的に除去したところ、COPDの症状が急激に悪化する急性増悪の頻度が減少したとの報告もあり、寺嶋教授は「歯周病の治療や予防が、COPDの改善につながる可能性があります」と期待を示す。
▽サルコペニアの併発で経過悪化
COPD患者では、歩行や階段昇降など身体を動かしたときに息切れがするため、活動量が減って筋力の低下や体力の消耗を招きやすい。そのため、骨粗しょう症やサルコペニア(筋肉量減少による身体機能低下)を合併しやすいという。サルコペニアを引き起こす別の要因として、COPD患者が歯周病を合併して残存歯数が少なくなると、そしゃく機能が低下し、低栄養に陥りやすくなることが指摘されている。
寺嶋教授は「COPD患者がサルコペニアを併発すると経過が悪くなります。この悪循環を防ぐには、運動療法による呼吸リハビリテーション、歯磨きや歯石除去などの口腔ケアが大切です」と寺嶋教授はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/10/07 08:39)
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