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「心因性非てんかん発作(PNES)」は、てんかん発作とよく似た症状を示すため、治療に抗てんかん薬が使われるケースが多い。しかし、真のてんかんではないため薬の効果は得られず、発作が長引き集中治療室(ICU)に搬送される患者もいる。国立病院機構奈良医療センター(奈良市)てんかんセンターの沢井康子医師に聞いた。
判断が難しいケースでは、長時間ビデオ脳波モニタリングで脳波を確認
▽発作時の動きに特徴
てんかん発作は大脳の神経細胞が過剰に興奮することで起こるため、発作時にはてんかん性の脳波異常が見られる。一方、PNESでは、けいれん、意識消失、転倒など、てんかん発作とかなり似た症状が表れるが、脳波の異常は見られない。また、けいれん時にもかかわらず目が閉じている、頭部や体を左右に揺らすなど、てんかん発作では見られない動きを示す。発作の時間も、1時間以上続くなど長いこともある。
難治性のてんかんの15~30%が実はPNESとの報告がある。真のてんかんとPNESの合併もある。
▽発作動画が手掛かりに
「ストレスで腹痛や頭痛が生じるように、PNESも精神的葛藤が身体症状に転換されたものです」と沢井医師。感動したり怒ったりすると涙が出るように、仕事が立て込んでいるなどの心理的な負荷がきっかけで、まるで反射のように、てんかんに似た症状が生じてしまうのだという。
PNESか真のてんかんかの判断がつかない場合は、5日程度の入院で、長時間ビデオ脳波モニタリングを行い、非てんかん性であることを確認する。
PNESの治療では、精神療法としてカウンセリングが行われる。症状が表れる状況や場所を患者から聞き、発作の原因となるストレスを見つけ出していく。発作が生じる理由を整理し、原因となるストレスをリスト化することで、症状が軽減するケースも少なくないという。不要な抗てんかん薬が使用されている場合は、減量もしくは中止する。
「PNESはてんかんとの区別がとても難しい。発作が起こった時に、動画などで記録しておくと診断の助けになります」と沢井医師は話している。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/10/30 16:47)
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