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肛門の病気を抱え、人知れず悩んでいる人は少なくない。肛門とその周辺にかゆみが生じる肛門掻痒(そうよう)症もその一つだ。便をきれいに洗い流す温水洗浄も、使い方によっては肛門掻痒症の原因になる。「人によってかゆみの程度の差はありますが、悪化する前に受診してください」と、おおさわ胃腸肛門クリニック(東京都品川区)の大沢晃弘院長は助言する。
勇気を持って、悪化する前に受診を
▽原因の最多は拭き過ぎ
肛門掻痒症は、原因不明の突発性と、病気などに関連して起こる続発性(二次性)に分けられるが、通常は続発性を指す。
続発性の原因となるのは、便の拭き残しや肛門の蒸れのほか、痔核(じかく)や痔瘻(じろう)といった病気などさまざまだが、大沢院長は「肛門の拭き過ぎによる傷が最も多いです。温水洗浄の使い過ぎで生じた小さな傷が原因となることもあります。肛門を清潔にしようという意識が強い人は気を付けてください」と注意を促す。
肛門がかゆくても、病院に行くことに抵抗を感じる人は多いだろう。市販薬でしのいでいたが、どうにもならなくなって受診する患者は、同クリニックにも多数いる。中には治療しないまま4、5年放置して、状態が悪化した例もあるという。
▽温風乾燥は逆効果
肛門掻痒症の治療として、同クリニックではステロイド外用薬と抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めを独自に配合した軟こうを使っている。入浴後や就寝中などに体温が上がるとかゆみが増すので、特に強いかゆみを訴えるケースでは、かゆみ止めの内服薬を併用して軟こうの効果を補完することもある。
治療をしても改善が見られない人もいる。その中には、傷から真菌が感染して別の治療が必要になるケースもあるようだ。
「肛門にかゆみがあるときは、拭く力も回数も通常の半分ぐらいにすることが大切です」と大沢院長。温水洗浄を使う際は、強過ぎない温水を10秒ぐらい肛門に当てて便を洗い流し、洗浄後は柔らかいトイレットペーパーで肛門を押さえるようにして拭き取るのが上手な使い方で、洗浄後に温風で乾燥させるのは逆効果という。「温水洗浄は熱過ぎず、長過ぎず、強過ぎず」とアドバイスする。
肛門掻痒症の治療は皮膚科でも受けられるが、「痔をはじめ直腸の病気も診ている専門医のいる肛門科であれば心強いでしょう」と大沢院長は話している。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/12/07 08:00)
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