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国内でカジノ・リゾートの建設が現実味を帯びる中で、注目されているのがギャンブル依存症だ。これは病気であり、回復のためには適切な医学的治療や支援が必要になる。国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の松下幸生副院長に聞いた。
こんな行動に心当たりのある人はギャンブル依存症の可能性がある
▽依存症の疑い例は3.6%
ギャンブル依存症とは、自分に不利益や有害な結果が生じていても、ギャンブルを続けたいという衝動を抑えらず、反復継続する状態をいう。ギャンブルをしていると落ち着く、ギャンブルが頭から離れないなどの症状が見られる。
松下副院長らがまとめた日本医療研究開発機構による調査では、ギャンブルへの依存が疑われる状態に陥った経験のある人は3.6%と推計され、人口に換算すると約320万人に上る。欧米での疑い例は1~2%程度で、日本の高さが際立っている。
なぜ、ギャンブルをやめられないのか。松下副院長は「依存症者の脳内では、機能異常が起きていると考えられます。感情や欲求をコントロールする前頭葉の機能が低下し、心地良いことが起きたときに活性化して快感を感じる報酬系という脳内の神経の活動が弱まり、より高額の掛け金でなければ興奮や快感を得られなくなります。そのため歯止めが効かなくなり、のめり込んでいくのです」と説明する。
▽うつ病、失踪、自殺例も
久里浜医療センターを受診する患者の多くは男性で、20代後半から40代前半と比較的若い世代だ。ほとんどがパチンコやパチスロの依存症者だが、外国為替証拠金(FX)取引に多額の資金をつぎ込んだ例もある。
治療法としては、認知療法や行動療法を用いた治療・回復プログラムが有効とされ、回復可能という。「依存症者は、『負けが続けば、次は勝てる』などと、ギャンブルに対する認知がゆがんでいます。認知療法では、ギャンブルのメリットとデメリットを冷静に自覚し、依存症者に特有の思考の偏りの修正を目指します」と松下副院長。
一方、行動療法では、普段の生活を見直して、ギャンブル欲を刺激する物事を避けたり、ギャンブルに代わる達成感の得られる趣味などを見つけたりして、ギャンブルの渇望に対抗するスキルを身に付ける。
「ギャンブル依存症は、一人で対処できる病気ではありません。うつや失踪、自殺などに追い込まれる人も多いため、長く続く場合は、専門の医療機関や各地の精神保健福祉センターに相談してほしい」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/03/08 09:00)
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