Dr.純子のメディカルサロン

在宅勤務者が感じるストレスの緩和法
~新型コロナ疲労とパーソナルタイム~ 第45回

 新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務が増えるなど、働き方の環境が変わり、ストレスを感じている人も増えています。

新型コロナウイルスの影響で花見が自粛となり、通行止めになった上野公園の園路=2020年3月27日、東京都台東区【時事通信社】

 一人暮らしの会社員で、30代のAさんは、社員の多くが在宅勤務になり、出社が自分一人ということも多く、「仕事が終わってから、ぱっと職場の仲間と1杯飲んで帰りたくなる」衝動に駆られたり、「ビールを買って、上野公園で一人で花見でもしたくなる」ということでした。

 一方、在宅勤務になった40代のBさんは、家で勤務をしていると、妻や子供が一緒で、一人で過ごす時間が全くなく、息を抜く場がない感じがするといいます。

 いつも仕事を引きずる感じがあり、しかも、仕事中に子どもの声やテレビの音などもして、集中できなくなることもしばしばです。

 ◆「役割のない自分の時間」―パーソナルタイムのバランスが大事

 会社員が「帰りに一杯」というのは、職場での役割を終え、個人に戻る時間とも言えます。

 課長でもなく、平社員でもない、肩書のない個人で過ごす時間といえるでしょう。また、家庭の父でも、夫でもない時間でもあります。

 こうした時間を過ごす空間は、個人の関わりでつくられたコミュニティー、共感をし合える場でもあります。

 しかも、そうした空間は、自分が行きたい時に行き、帰りたい時に帰り、行きたくない時には参加しないという、自分に裁量権がある場でもあります。

 これまで、日本の男性は、こうしたパーソナルタイムで、役割のない自分を取り戻し、ストレスを緩和する傾向がありました。

 また、パーソナルタイムは、1日に占める割合が多過ぎても、少な過ぎても問題で、Aさんのように割合が多過ぎても、Bさんのように少な過ぎてもよくありません。

 そのバランスを「帰りに一杯」で、無意識に調節していた向きがあります。

 「酒を飲みたいわけではない。ただ、職場の自分でもない、家庭の自分でもない自分で過ごしたい」という時間であったと思われます。



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