研修医こーたの出来たてクリニック

「先生。私、コロナなんでしょうか」
不安で受診、医療崩壊の一因に

 発熱外来や救急外来では、新型コロナウイルスが心配だという患者さんを日々診察していますが、厚生労働省の定めるコロナ受診基準に当てはまらない方も多々いらっしゃいます。日本中が不安に包まれている中、患者さんが安心を求めて受診してしまうのも、仕方ない部分があるとは思います。 

 もちろん不安な患者さんにしっかりと説明し、安心して帰っていただくことも医師の大切な仕事です。しかし、不安を解消するための受診が増えれば、病院のマンパワー不足は加速します。医療崩壊を防ぐためにも、私が実際に診察室でお伝えしている三つのことを、みなさんに知っていただけたらと思います。 

不安解消のための受診は控えて

 ◇自ら症状を探すのは控えましょう 

 「脈拍がいつもより少し速いです」-。不安を訴え来院される患者さんは、普段は気にならない症状でも、コロナと結びつけてしまい、不必要に重く受け止めてしまう傾向にあります。厚労省の定める受診基準に満たない方が、本当にコロナウイルスにかかっている確率は決して高くありません。むしろ過剰な不安は、日常生活に支障をきたしかねませんし、それを解消するための病院受診は、コロナ感染リスクの元となります。 

 ◇過度な情報収集はやめましょう 

 現在、SNSやテレビはコロナに関する情報であふれています。これらの飛び交う情報の正誤を判断するには、専門知識が必要であり、患者さんご自身で見極めるのは困難です。 

 むやみやたらと情報収集をすることは、誤った情報へのアクセスも増やし、不安をさらに強めるのではないでしょうか。厚労省のホームページなど、公的な機関が出しているものに絞って、情報を得ていただけたらと思います。 

 ◇正しく恐れましょう 

 間違いなくコロナウイルスは脅威ですが、各自が正しい行動を心掛ければ、感染のリスクを最小限に抑えることができます。不要不急の外出は避け、手指衛生をしっかりする。一人一人が自分の行動のリスクを、しっかり考えることが大切です。「冷静かつ科学的に恐れること」が、現状コロナによる不安を軽減する唯一の手段なのではないでしょうか。(研修医・渡邉昂汰)

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