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医師の服装の変化については「医師の白衣、実は不便?=増えているスクラブスーツ」と題したコラムで既に紹介しました。診療する上で服装に利便性を求めることは大切である一方、外観が患者さんに与えるイメージも大切だ、というのは先に書いた通りです。
医師はなるべく清潔な身なり、患者さんはラフな格好で
◇良好なコミュニケーション
確かに、「人は見た目ではなく中身や能力で判断すべきだ」という意見もあるでしょう。しかし、皆さんが入院したとして、金色に染めた長髪にボロボロのジーンズ姿の医師が担当だったら、さすがに不安になるはずです。
実際、医師の身なりについて、患者さんから投書などでご指摘を受けることもしばしばあります。患者さんは、自らの健康を見知らぬ医師に委ねなければなりません。初対面の医師の「見た目がどうであるか」は、良好なコミュニケーションを始める上で重要な因子なのだと思います。
私自身もその点にはかなり気を使っていて、患者さんと会う時は、なるべく清潔感がある、整った身なりを心がけています。その一方で、常にこうした格好を維持することがどうしても難しい場面があるのも事実です。
◇どうしても乱れがちに
私たち医師は、担当している患者さんの急な病状の変化で、休みの日に突然呼び出されることがしばしばあります。真夜中、ぐっすり眠っている最中に枕元でけたたましく携帯電話が鳴り、慌てて家を飛び出す、などということも医師にとっては日常茶飯事です。
一晩中手術をして、一睡もしないまま朝を迎え、そのまま入院患者さんの病室を回診することもあります。時に髪形が乱れていたり、無精ひげがマスクの隙間からのぞいていたりするかもしれません。こればかりは、医師の特殊な仕事柄からやむを得ないとお考えいただき、大目に見ていただければ、と願います。
◇患者さんは「お気遣いなく」
患者さんの服装についてはどうでしょうか。
入院中は当然ながら、指定の病衣を着ているか、あるいは動きやすいラフな格好でいるのが一般的で、服装に迷うこともないでしょう。
しかし、外来で受診するとなると、できるだけきちんとした格好で、と考える患者さんは少なからずいます。一方、診察する側の立場としては、患者さんが整った身なりである必要は全くありません。わざわざ気を使う必要はない、とお伝えしたいと思っています。
むしろ、医師が診察しやすい服装、つまり、診てほしい部分を露出しやすいような、ゆったりとした服がお勧めです。タイトなシャツやワンピースなどは聴診器が当てづらい、という実情は以前のコラム「病院に持っていくべきものとは?=受診時に注意すべき三つのポイント」で紹介した通りです。
むろん、病院に行ったのちに買い物に行ったり出勤したりする方も多く、ラフな格好で病院に行くわけにはいかない、という方も多いでしょう。しかし、特にそうした事情がない時は、服装にはお気遣いなく来院してくだされば、と思います。(外科医・山本健人)
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