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脳に嗜銀顆粒(しぎんかりゅう)と呼ばれる物質が蓄積して発症する嗜銀顆粒性認知症は、高齢者の増加とともに増える傾向にある。愛知医科大学加齢医科学研究所(愛知県長久手市)神経病理部門の吉田真理教授は「高齢になって怒りやすくなった場合、嗜銀顆粒性認知症の可能性もあります」と話す。
気になる症状があれば、認知症の専門医を訪ねてみよう
▽発症、進行とも遅く
嗜銀顆粒は、高齢になると脳の神経細胞に現れやすくなる数ミクロン(1ミクロンは1ミリの千分の1)のタンパク質(タウタンパク)。死亡した嗜銀顆粒性認知症患者の脳を顕微鏡で見ると、嗜銀顆粒は米粒のような形をしている。特に脳の側頭葉という部位の内側に蓄積しやすく、その広がりによって病理学的な進行度がステージ1~3に分類される。
ステージ1では目立った症状はないが、物忘れが最初に表れることが多い。ステージ3になると頑固になったり、興奮しやすくなったり、怒りやすくなったりなど、嗜銀顆粒性認知症に特有の症状が表れるようになる。
嗜銀顆粒は、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などでも見られるが、「嗜銀顆粒性認知症の発症時期はアルツハイマー型認知症などに比べて遅く、ゆっくり進行します」と吉田教授は説明する。
▽高齢者の5~9%で
嗜銀顆粒性認知症は、磁気共鳴画像(MRI)検査などで側頭葉の内側面、前方の萎縮に左右差が見られることが特徴だ。生存中の確定診断は難しいが、死後の解剖によって神経病理学的に診断できる。
嗜銀顆粒性認知症の治療法はまだ確立していない。そのため、アルツハイマー型認知症に準じてコリンエステラーゼ阻害薬が使われるが、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症で得られるほどの効果は期待できない。
「嗜銀顆粒性認知症は高齢者(65歳以上)の5~9%に生じるとされ、特に80歳以上に多く、決してまれな病気ではありません。高齢になって急に怒りっぽくなるなどの変化があり、心配な場合は神経内科や精神神経科など認知症専門の医療機関を受診してください」と吉田教授は勧めている。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/08/11 14:09)
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