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寝違えは、起床直後に感じる首の後ろや肩の痛みを指し、痛みのせいで仕事や家事に支障が出ることもある。筋肉の動きや感覚を支配する神経のアンバランスで起こるとされ、体に合わない寝具が寝違えを誘発することもある。片山整形外科記念病院(横浜市)の和田栄二診療部長は「寝違えは首の筋肉痛や凝りです。ほっておいて治る場合と、そうでない場合があります」と注意を促す。
寝具選びは重要。枕は適切な高さに
▽首の関節や筋肉の老化
首の骨は頸椎(けいつい)と呼ばれ、七つの骨から成る。骨と骨は椎間板、靱帯(じんたい)、椎間関節によってつながれている。椎間板は骨にかかる負担を和らげるクッションの役割を、靱帯は骨を安定させる役割を果たしている。また、椎間関節があることで、首をさまざまな方向に動かすことができる。
頸椎の中には脊髄と呼ばれる神経の束が通り、それぞれの頸椎の間から外に伸び、手や首、肩や背中の筋肉の動きや感覚を支配している。脳から首を動かせといった命令が出ると、脊髄は目的の筋肉を緊張させたり弛緩(しかん)させたりする信号を伝達する。寝違えは、この一連の流れのどこかに異常が起こると発症するという。
和田診療部長は「首や肩に負担がかかる体勢で寝ると筋肉が異常に緊張し、起床して首を動かした時に、筋肉の動きと神経の伝達がうまくいかずに痛みが出ます」と説明する。慣れない作業やスポーツなどが原因になることがあり、老化で首の関節が硬くなると、動きをカバーしようと周囲の筋肉に過度の負荷がかかって痛みが生じることもある。加えて椎間板が破裂(ヘルニア)すると、神経を圧迫して手がしびれるなどの神経症状を伴うこともある。痛む部位は、首の後ろや肩、後頭部、肩甲骨の内側などで、一定の方向に動かせない場合が多い。
▽まずは湿布薬を1週間
枕の高さも原因の一つだ。和田診療部長は「枕が低過ぎると首が後ろに反り、脊髄が圧迫されて寝違えが起こりやすくなります。沈み込む枕よりも、軽くて程よい硬さがあり、頭部から首を適度に支える枕を選んでください。真っすぐに上を向いて寝た状態で、体に対して首が約15度前傾するのが理想です」とアドバイスする。
寝違えの治療は消炎鎮痛成分が入った湿布薬で様子を見るのが基本だが、1週間たっても症状が改善しない場合は他の病気も考えられる。「椎間板ヘルニア以外にがんや関節リウマチ、自己免疫性疾患で寝違えの症状が出ることがあります」
診断では、神経障害を表す異常反射の有無を確認し、レントゲン検査、脊髄神経の圧迫が分かる磁気共鳴画像装置(MRI)検査を行う。
「たかが寝違えと軽視せずに、症状が悪化した場合は整形外科を受診してください」と和田診療部長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/10/05 06:00)
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