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高温多湿の夏場は水虫(足白癬=あしはくせん)が起こりやすい季節だが、症状が似ていて水虫と間違いやすい皮膚病もある。ひふのクリニック人形町(東京都中央区)の上出良一院長に聞いた。
症状は似ていても、原因や治療法は異なる
水虫と似た症状を示す病気の中でも多いのが、異汗性湿疹とも言われる汗疱(かんぽう)と掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)だ。
汗疱は、かゆみを伴う小さな透明の水膨れ(水疱=すいほう)ができる病気。手のひらに出やすいが、足の裏に出る場合もあり、それが水虫と間違われやすい。夏場に汗をよくかく人に多く見られる。原因不明だが、食物や金属のアレルギーが関係していることもある。「体内に入ったニッケルなどの有害金属が手のひらや足の裏からの汗とともに排出される際、症状を引き起こすケースがあると考えられています」と上出院長は説明する。
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏にうみのたまった水膨れ(膿疱)ができる病気で、関節に痛みを伴うこともある。膿疱内に細菌やウイルスなどの病原体はなく、人に感染はしない。掌蹠膿疱症も原因不明だが、「歯周組織やへんとう、副鼻腔(びくう)などに慢性的な炎症があり、それが掌蹠膿疱症を引き起こす誘因となり得るのではないかと考えられています」。
▽自己判断は禁物
水虫はカビの一種である白癬菌が原因。患部の皮膚を取って顕微鏡で観察し、白癬菌を見つけて診断する。水虫の治療には、白癬菌を殺す抗真菌薬を用いる。
ところが、足がかゆいから水虫に違いないと自己判断し、市販の水虫薬を汗疱や掌蹠膿疱症に用いると、効果がないばかりか、逆に悪化を招くことがある。「市販の水虫薬に含まれるかゆみ止め成分などが、かえって皮膚にかぶれを引き起こしてしまいます」
汗疱や掌蹠膿疱症には、主にステロイド薬を用いる。汗疱は通常1カ月程度で治る。一方の掌蹠膿疱症は治りにくく、強めのステロイド薬が用いられる場合が多い。皮膚に紫外線を照射する紫外線療法が併用されることもある。
また、実際には水虫なのに、誤ってステロイド薬を塗り続けると、免疫が抑制されるために白癬菌が増加してしまい、悪化することもあるという。「くれぐれも自己判断はせず、皮膚科を受診してください」と上出院長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/10/20 06:00)
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