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引きこもり状態にある人が長期化、中高年化しており、80代の親が50代の子の生活を支える「8050問題」が深刻化している。心の病気につながることが多く、医療や周囲による支援が急がれる。どのような支援が必要なのか、九州大学病院精神科神経科(福岡市)の加藤隆弘講師に聞いた。
コロナ禍の引きこもりのリスクチェックリスト
▽外出自粛で引きこもりに
九州大学が作成した引きこもりの診断ツール(診断基準/評価方法)によると、学校へ行く、仕事に行く、家庭外で交遊するなどの社会参加をしていない期間が3カ月以上に及ぶケースを「プレ引きこもり」、6カ月以上を「引きこもり」としている。外出の頻度が週2~3回を軽度、週1回以下を中度、週1回以下でほとんど自室から出ない人は重度と診断される。
「日ごろからのストレスに加え、コロナ禍で外出の回数が減ったことによりインターネットを通じてSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やゲームの利用時間が大幅に増えた人や、人が少ない夜中にコンビニエンスストアにだけ行く人は引きこもりになる可能性があり、注意が必要です」と加藤講師。
引きこもりは過剰なストレスからの回避行動とも言える。加藤講師は「引きこもり状態に対して本人が苦悩し孤独感を持っている、あるいは家族や周囲が困っている場合は支援が必要」とした上で、「統合失調症やうつ病などを合併する人も多く、当院の引きこもり専門外来の患者の約7割に精神疾患がありました。精神疾患の治療で引きこもりが解消する人もいます」と話す。
▽“心の応急対応”が重要
引きこもりの人に対しては、各自治体の「ひきこもり地域支援センター」による相談支援体制がある。ただ、引きこもりが長期化している人に対しては、「家族がどう接してよいか分からない」「近所の目が気になる」などの理由から支援が遅れるケースが多い。親が死亡し、経済的なよりどころを失った人が孤独死に至る、自殺するといった例もある。そのため、医療や福祉による継続的な支援体制を確立し、早い段階での取り組みを進める必要がある。
家族が声の掛け方を学ぶ、精神科を受診させるなど支援に向けた第一歩が重要だ。「メンタルヘルス(心の健康)の問題を抱える引きこもりの人に対しては、専門家による支援の前に、声を掛ける、話を聞くといった家族など周囲の人による“心の応急対応”が非常に重要です」と加藤講師はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/06/06 05:00)
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