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喫煙がもたらす生活習慣病とも言われる慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)は、国内では男性に多いが、海外では患者数や死亡者数が男女同等の国もある。千葉大学医学部付属病院(千葉市)呼吸器内科の巽浩一郎特任教授は「患者は多くありませんが、女性は発症リスクが高く、悪化しやすい傾向があります」と指摘する。
禁煙と受動喫煙の回避を心掛けて
▽女性では受動喫煙も
COPDは、たばこや大気汚染の有害物質で、気管支や肺に慢性的な炎症が起こり、呼吸機能が徐々に低下する病気だ。初期は自覚症状がなく、進行とともにせきやたん、息苦しさなどが顕著になる。
巽教授は「慢性的な炎症で気管支の壁が厚くなって内部が狭まり、気管支の先にある肺胞という房状の袋がつぶれて、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなります」と説明する。若い頃から喫煙歴があり、中年以降に多く発症する。症状が出たときは、かなり進行しているケースが少なくない。
また、男性より女性の方が重症化しやすい。「女性は男性よりも肺が小さく気道も細いため、同じ煙の量でも流速が上がり、肺の深部にまで有害物質が達しやすいと考えられます」。女性は感受性が強く、受動喫煙が原因として多いのも特徴だという。
▽治療は禁煙と運動
診断は、胸部X線検査と呼吸機能検査(スパイロメトリー)で行う。最初の1秒間に吐き出せる息の量で、軽度(Ⅰ期)、中等度(Ⅱ期)、高度(Ⅲ期)、極めて高度(Ⅳ期)の四つに分類される。
治療は進行を抑え、生活の質の維持を目的とする。まずは禁煙。「壊れた肺胞は元には戻りませんが、禁煙で、ある程度の呼吸機能の回復が望めます」
次に重要なのが運動だ。ストレッチやウオーキングなど、継続して体を動かせる運動がよい。「早く、歩幅を大きくなどの負荷をかけて歩くとトレーニングになります。歩数計を着けると、モチベーションが維持できるでしょう」
併せて理学療法士が呼吸リハビリを行う。筋肉の強化と、自覚症状の改善に結びつく。気管支拡張薬などの薬剤は治療時に呼吸を楽にする目的で使用する。
巽教授は「重症になると在宅での酸素療法が必要になります。自分や家族の将来のために喫煙は控え、受動喫煙に気を付けましょう」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/05 05:00)
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