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「左右どちらか半分だけズキンズキンと痛む」「輪で頭を締め付けられるように痛い」「急に頭に針でも刺されたような鋭い痛みが襲ってくる」
頭痛治療に漢方を処方する來村昌紀医師
日本では成人の4割が、このように具体的な症状こそ異なるが、何らかの頭痛に悩まされているという。その一方で、「一時の痛みだから」「市販の痛み止めで痛みが消えるから」などの理由で、医師の治療を受けていない人も少なくない。
千葉市で開業する、らいむらクリニック院長の來村昌紀医師は「慢性化すれば日常生活に大きな影響を与える。市販の痛み止めなどを過剰に服用し続けると効かなくなることもある。早めに医師に相談して必要な治療を受けたほうがいい」とアドバイスする。
◇欠かせない生活指導
脳神経外科と漢方両方の専門医である來村医師は「痛み自体もあるが、頭痛により約束を取りやめるなど、日常生活への影響が大きいのが頭痛の特徴。生活に支障が生じるのであれば、一度医師に相談してほしい。大学病院などの専門科でなくても、かなりの改善が望めます」と言う。
來村医師が治療で重視するのが、丁寧な問診による日常生活の把握とそれに基づく生活指導。加えて、頭痛とその原因に有効な漢方薬の投薬だ。
例えば、月経不順の際に起きる頭痛であれば、痛み止めだけでなく、生理周期を整える薬を合わせて処方する。頭痛の原因を改善するだけでなく生活の質(QOL)の向上も達成できる。
來村医師は「頭痛は長期間続くことが多く、できるだけ体への負担の少ない複数の漢方薬を組み合わせることでコントロールできれば副作用の心配も減る。ただ、生活習慣に大きく左右されるので、生活指導は欠かせません」と話す。
◇症状が長引く場合は
中でも、妊婦はもちろん10代の未成年者に対しては使えない頭痛治療薬もある。場合によっては、漢方薬や生活指導の果たす役割は大きくなる。
「実例を挙げれば、スマートフォン(スマホ)の使い過ぎで頸椎周囲の筋肉が凝り固まって血流が悪くなり、緊張性頭痛を発症した高校生がいた。血流をよくし、痛みを和らげる漢方薬を処方するとともに、スマホの使用時間の制限などの生活指導をしました。守ってもらうのは大変ですが、2、3カ月続ければ、頭痛も大きく改善します」と來村医師は説明してくれた。
頭痛と治療に使われる漢方の種類(來村昌紀医師が監修)
処方する漢方薬は葛根湯など多くの疾患で使われるものもあるが、來村医師は「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)や五苓散 (ごれいさん)など漢方薬を処方していない医師にはなじみの薄い薬もよく使います」と話す。ただ、これらの薬も漢方に関心のある医師なら効果や処方の方法は知っている薬なので、決して珍しい薬ではないという。
「すぐに強い効果のある薬を希望されることも多いが、これらの薬は副作用も強い。頭痛は慢性的な症状であるだけに、患者さんの症状、体質に合わせた処方をすることで、体質改善も大切だ」と漢方を使う理由を説明している。
(2022/02/01 11:21)
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