2024/12/18 05:00
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誰かが褒められると何となく嫌な気分になる、そんなことはないでしょうか? 嫉妬するような状況ではないのに、なぜか面白くない。その気持ちの奥にある心理について考えてみたいと思います。
自分が今していることに集中する(写真はマイアミオープンテニス・女子シングルス決勝の大坂なおみ選手=2022年4月2日、米フロリダ州マイアミ【AFP時事】)
◇後輩が褒められて嫌な気分に
Aさんは、会議で上司が1年後輩の女性の企画を「とてもいいアイデアで素晴らしい」と評価した時、とても嫌な気分になってしまったといいます。後輩の女性とはいい関係ができているから、よかったね、と言わなければいけないはずなのに、そんな気にはなれないということです。そういえば、誰かが褒められると嫌な気分になることが多いということに気が付いて自分は心が狭いのかな、と心配になったそうです。仕事だけでなく、プライベートでもそういう傾向があり、付き合っている男性がテレビを見てタレントを褒めても嫌な気分になるということでした。
テニスが趣味のBさんは、コートで誰かがプレーをしているのを見て、周りの人が「うまいね」と言うのを聞くと、自分はあんなにうまくできない、と思い次第に気分が落ち込んでくるそうです。
◇自己関連付けという心理とは
人が褒められても気分は変わらないと言える人は少ないかもしれません。何か落ち着かない気分になるものです。
これは「自己関連付け」という心理が引き起こす現象です。例えば、ある集まりの席に着いたとき、周りを見渡し、「あの人は私より若いか、年上か、仕事能力が私より上か下か」などと比較する傾向はないでしょうか?
周りとの比較で自分を評価したり判断したりしてしまう心理は「自己関連付け」であり、すべての状況、あるいは他の人とのやりとりのすべてが自分を個人的に評価、判断していると思い込む心理です。
Aさんの場合は、上司が後輩の企画を褒めたのは、後輩の企画に対しての評価であり、Aさんのことを評価したわけではありません。付き合っている男性がタレントを褒めているのはそのタレントに対してであり、Aさんのことを否定しているわけではありません。にもかかわらずAさんは、すべてを自分と関連付けて、褒められている人と自分を比較して自己肯定感を低下させてしまい、気分がうつに傾いてしまうのです。
Bさんの場合も同様で、うまくプレーする選手がうまいと言われても、それはBさんを否定しているわけではありません。にもかかわらずBさんは自分と比較して自分はだめだ、と思い落ち込んでしまうのです。
◇自己関連付けから脱却する三つのステップ
自己関連付けは、すぐに人と比較して自分を評価するという心の癖が引き起こすものです。この癖は、「気付く」「ストップする」「集中する」という三つのステップで修正するトレーニングが役立ちます。
【ステップ1】心の癖に気が付く
自分の心の癖に気が付くことが大事です。誰かが褒められたり、評価されたりした時に嫌な気分になったら、自分は「自己関連付け」をしていないかと振り返ってください。この気付きが大事です。
【ステップ2】比較癖をストップする
誰かが評価されたことは誰かの問題であり自分の問題ではない、自分が否定されてはいない、「すぐ比較する癖を直そう」と自分に言い聞かせてみる。
【ステップ3】自分に集中する
比較する癖は、人との比較で自己肯定感を保とうとするからと言えます。人と比較して生まれる優越感は、劣等感にもなるのです。人のことではなく、自分が手掛けている仕事や、自分が今していることに集中してみることが大事です。自分のことに集中すると他人との比較で生まれる不安が軽くなります。(了)
(2022/04/21 05:00)
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