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嫌がられる上司とその対応法
~問題コミュニケーション5つのパターン~ 【男性のストレス・女性のストレス】その3


女優の天海祐希さんは「理想の上司」ランキングの常連

 「こういう上司困るよね」という人、どこの部署にも必ず一人はいますね。部下になったらストレスは半端ではありません。また、仕事の相手先にそういう人がいても困ります。特に、自分が業者の立場で、仕事をもらっている場合、立場が弱いので我慢するだけになることもしばしばです。そうした問題のコミュニケーションスタイルについて考えます。同時にこんな相手がいた場合の自分のメンタル対策も考えていきましょう。以下企業に働く人たちからの悩みです。


ケース1ダブルバインドは部下を疑心暗鬼に追い込む

広報担当のAさん

 新しいプロジェクトの企画が立ち上がり、上司が「何でも気が付いたことを追加し、いらないと思うことを削除して進めよう。何でも言うように」と発言。そこで、追加したいことを提案したら、「もう決まっていることだからこれで進める」と言われ、釈然としない思いがしたそうです。二つの相反するメッセージを出すのはいわゆるダブルバインドというコミュニケーションスタイルですが、上司が常にこうした方法でメッセージを出した場合は、部下の信頼を失うのは当然です。部下としてはどちらを本当だと思えばいいのか悩みます。そして問題は、こういうダブルバインド状態が続くと相反する状態に拘束されることで、不安と疑心暗鬼が続き、人とのコミュニケーションそのものを避けるような状況に追い込まれることがあります。


ケース2無礼な発言は脳に刻まれる

営業のBさん

 取引先の担当者は、常に会議で攻撃的で大声で話すそうです。「隣の部屋まで聞こえるくらいです」とBさん。Bさんに対してだけでなく、周りの人に対して攻撃的で、みんなそれを聞いているだけで次の業務にとりかかれないようなぼうぜんとした状態に陥ります。口調が乱暴なだけでなく、メールも乱暴です。そのメールを見るだけで、その後仕事ができなくなるくらい不快になります。パソコンを開くのが嫌になることもあるといいます。研究によると、無礼な態度により生じたショックは脳に刻まれ、数年間は残るということです。これは自分が無礼な態度を受けた場合だけでなく、同僚や仲間が無礼な態度を受けた場合でも同様だといいます。


ケース3相手を無視した即レスメール攻撃にへきえき

編集部のCさん

 仕事の締め切りなどを確認するメールを上司に出しても数日たっても全く返事がない一方、上司からのメールに返事が数時間遅れると激怒するので理不尽さを感じているそうです。「そんな悠長なことやってられへん」などとメールでチクチク嫌味が続きうんざり。以前のことを持ち出して、しつこくいつまでも部下を責めることも。「相手にメールを出す時間を考えるのは礼儀であり、それが常識というものだ」というのですが、上司からは土日深夜も平気でメールが来る。しかも即レス要求。体調が悪く休んでいるときにもメールが届き、精神的に休まりません。


ケース4「自分を常に正当化」上司にうんざり

営業のDさん

 自分が思い違いをしても間違っていても絶対に認めようとせず、すべて悪いのは部下、成功すると自分の手柄という上司の態度で、意欲が消失しています。上司のミスを指摘すると、聞かないふりをして話を変えたりするそうです。プライドが高いので、間違いを指摘されると逆切れすることもあるので、怖いから黙っていることもしばしばです。仕方なく気が付いた人たちが修正したりするのですが、その後始末がかなり負担で、うんざりしてしまいます。また、仕事の進め方も自分のやり方だけが正しく正統派と考えているので、発展的なことが提案できず困惑するそうです。


ケース5気に入らない人物は仲間はずれにして干す陰険上司

開発担当Eさん

 数人で新規製品の開発担当です。上司は感情コントロールが出来ない傾向が強いそうです。自分に逆らわない社員はお気に入りですが、自分と意見が合わない人には非常に冷淡で突然、激怒したりするそうです。ですから、部下は常に顔色を見ながらびくびくしている状態です。「君の人事評価は私がするのだからね」と言われた社員もいて、常にストレスフルです。そうした発言に対して、パワハラではないかと指摘したEさんでしたが、その後が大変で「パワハラと言われて心が傷ついた」と逆切れ。「えー、パワハラは部下が感じた場合がパワハラなんだけど」と驚きだったとか。中でも一番困るのは、情報を共有してくれなくなったことだそうです。Eさんは、業務を進めていく中で、時々大事な情報をccから外されたりして困っています。それを指摘しても無視され、自分のモチベーションが低下し、疎外感で部署異動を申請したいと考えているそうです。


パワハラ防止法は成立した(2019年5月29日参院本会議で)

対策

1 仲間を作ろう

 毒発言をする上司や取引先の相手には、一人で立ち向かうのは無理といえます。仲間をつくり、共同で話し合い、支え合うことが不可欠です。さらに、職場だけでなく友人など自分の気持ちを聞いてくれる人、安心して気持ちを表現できる場所をつくります。場合によっては、産業医なども活用してください。

2 相手の感情に巻き込まれない

 毒発言や無礼で感情的な態度に対しては、その感情に巻き込まれないことが不可欠です。相手がどんなに失礼な発言をしても、自分はしっかりと自分の心を保つことに集中します。暴言は自分の周りを過ぎていく暴風というイメージをして、自分がそれに巻き込まれないことです。感情に対し、感情で即反応すると、事態は悪化します。ただし、毒発言の日時や来たメールなどの記録は、きちんと残しておくことが大事です。

3 記憶を上書きする

 嫌な態度や発言は、数年脳に刻まれるという報告があります。ですが、記憶は上書きすることにより改善が可能ともされています。嫌な発言のすぐ後に、思いやりがある言葉や態度に触れることにより記憶の上書きをするのです。嫌な上司と会う機会があれば、その後に仲間と話し合う時間をつくっておくことが役立ちそうです。

4 避難も大事

 毒発言の上司や感情的で自分が正しいと思い込んでいる人を変えることはできません。いくら言っても、相手は人の意見は聞こうとしないからです。ジョージタウン大学准教授で、職場の活性化についての著書もあるクリスティーン・ボラス博士によると、相手の無礼な態度が繰り返され、それに言い返しリスクが懸念される場合は、

 ◆ 会話は短く要点だけ

 ◆ 毅然とした態度で

 ◆ 顔を合わせる場面を最小限度にして

 ◆ どうしても連絡が必要な場合は他の人を通す

―など隔離政策も有効だとしています。

(文 海原純子)


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