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日常的に口をぽかんと開けている、いわゆる「ぽかん口」は、子どもの場合、放置すると口腔(こうくう)内だけでなく成長にも影響するため、気付いたら早めに治療したい。
日本大学歯学部付属歯科病院(東京都千代田区)保存学教室修復学講座の宮崎真至教授は「ぽかん口の原因はいくつかあります。原因を探り、トレーニングを繰り返して治していきましょう」と語る。
ぽかん口の検査に用いられる口唇筋力固定装置「りっぷるくん」(左)と使い方
▽虫歯や口臭のリスクに
ぽかん口は、口唇閉鎖不全症という病名が付いている。子どもの約3割に見られ、注意してもすぐまた開いてしまう。
原因は複数ある。宮崎教授は「子どもの鼻腔(びくう)はまだ小さいため、多くの酸素を取り入れようとすると必然的に口呼吸になりやすく、それが習慣化してぽかん口になります」と説明する。
加えて、近年の子どもたちは柔らかい食べ物をかむことが多く、口の周りの筋肉(口輪筋)が発達せず顎が小さい。唇を閉じる力が弱く、口を開けがちになる。
また、アレルギーなどで鼻が詰まると、口呼吸になりがちだ。さらに、舌の位置が悪い舌癖(ぜつへき)もぽかん口の原因になるという。「いつも口を開けていると、顎の成長にも影響して歯並びが悪くなります。将来的に口の中が乾燥して汚れが付き、歯肉の炎症(歯周炎)や虫歯、口臭の原因にもなるので、早めにしっかりと治すようにしてください」
▽全身に影響が及ぶことも
ぽかん口の検査は、口唇筋力固定装置と呼ばれる専用の測定器を用いて口唇の閉鎖力を測る。デンタルフロスの先に付いた大きなボタンのような器具を子どもにくわえさせ、正面から水平に引っ張り、器具が口から引き出されるときの口輪筋の強さを測定する。保険診療で受けられる検査だ。併せて、舌癖がないかも調べる。
治療は、器具を使った口輪筋を鍛えるトレーニングや、舌や口元の筋肉を鍛えて鼻呼吸を促す「あいうべ体操」などを行う。舌癖がある場合は、正しい舌の位置を指導する。いずれも歯科医院で指導を受けながら家庭で行うトレーニングになるので、親子で楽しみながら続けるのがこつだ。
日常生活の注意点として宮崎教授は、かむことの重要性を強調する。「口輪筋の発達が促され、ぽかん口の予防になります」
子どものぽかん口は、成長するにつれて集中力の低下や睡眠時無呼吸症候群などの病気を招く場合もある。注意をしても治らないときは、迷わず歯科医院に相談したい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/10/15 05:00)
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