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筋肉量の減少に加え、筋力の低下または身体機能の低下が認められる状態を「サルコペニア(筋肉減少症)」と呼ぶ。高齢者をはじめ、特に多いのが血液透析患者だ。大阪公立大学大学院医学研究科(大阪市阿倍野区)代謝内分泌病態内科学の蔵城雅文講師に聞いた。
透析患者がサルコペニアになりやすい理由
◇3~4割がサルコペニア
サルコペニアになると、歩く速度が遅くなる、ペットボトルのふたが開けにくい、転びやすいなどの症状が出る。東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、要介護、死亡のリスクがともに倍増する。75~79歳の約2割にサルコペニアが見られる。
サルコペニアの危険因子には、加齢、活動量の減少、各種疾患(慢性腎臓病、がん、内分泌疾患など)、栄養不良などがある。
蔵城講師によると、血液透析患者の平均年齢は69歳。基礎疾患として慢性腎臓病があり、活動量が少なくなりがちで、たんぱく摂取制限などにより栄養状態も良くない。血液透析患者の約3~4割はサルコペニアだという。
◇栄養不良だとリスク3倍
しかし、血液透析患者のサルコペニアに関する研究は少なく、不明点は多い。「一般の高齢者で、栄養不良があるとサルコペニアを起こしやすくなりますが、血液透析患者ではその関係が十分に確認されていませんでした。理由の一つは、これまで血液透析患者の栄養状態を評価する良い指標がなかったからでしょう」
そこで蔵城講師らは、日本透析医学会が最近開発した、日本人の血液透析患者のための評価指標「NRI―JH」を用い、患者315人の栄養状態を評価。サルコペニアとの関係を検討した。
その結果、「栄養不良グループ」のリスクは「良好なグループ」に比べ、サルコペニアのリスクは約3倍、重症サルコペニアのリスクは約2倍高かった。
「血液透析患者で、栄養状況とサルコペニアとの関連が分かりました。またNRI―JHを用いて、サルコペニアの発症防止、早期発見・治療、生命予後の改善につながることが期待されます。血液透析患者には十分な栄養摂取と運動の併用を推奨しています」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/11/30 05:00)
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