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地震や水害などの災害発生時に避難所での生活が長期化すると、持病が悪化したり、病気を発症したりすることがある。避難所での栄養管理の現状や必要な備えについて、国立健康・栄養研究所(東京都新宿区)国際災害栄養研究室の坪山宜代室長に聞いた。
ローリングストック
◇避難所で不足
避難所での食事は栄養が偏りやすく、おにぎりやパン、即席めんなど、炭水化物主体になることが多い。坪山室長らが2011年の東日本大震災発生から1カ月後に行った避難所の食事に関する調査では、「穀類以外のほとんどの食品が不足しており、中でも乳製品や肉類、野菜類、豆類、魚介類の不足が目立ちました」。厚生労働省が提示する災害時の栄養基準を満たしていない避難所が70%以上あったという。
さらに滞在期間が長期化するほど食事管理が難しくなり、糖尿病や高血圧などの持病が悪化したり、肥満を発症したりするケースが増える。ただし、「乳製品を積極的に取ることでそのリスクを抑えることができます」。
魚介類を食べることも重要だ。「魚介類を食べる頻度が高い人は肥満リスクが抑えられることが分かりました。特に、仮設住宅に住んでいる男性でその傾向が顕著です」。イカやタコ、貝類、甲殻類などに含まれるタウリンや魚油には肥満を抑える効果があり、缶詰の魚などを積極的に取ることで肥満リスクを抑えられる。
◇持病の人は最低2週間分
これまでの多くの大規模災害の経験から、国や自治体による災害時支援体制の充実や管理栄養士らによる栄養サポートなどの充実が図られているが、重要なのは一人ひとりの日ごろの備えだ。
備蓄品については、「腎臓病などの持病で食事管理が必要な人は、普段の食事療法が継続できるように最低2週間分は必要。持病がない人でも1週間分の備蓄、最低でも3日分の準備を。おかずになるものがお勧めです」。
日常的に災害食を食べて買い足す循環備蓄(ローリングストック)も心掛けたい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/12/14 05:00)
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