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離乳食が始まると、子どもが食べる量や種類は親の大きな関心事になる。子どもが食べないと、栄養不足や成長の遅れが心配になり、どうにか食べさせようとする親は多い。
しかし、「親の努力が子どもにはストレスとなり、偏食を強める悪循環に陥ってしまうケースがあります」と、神奈川県立こども医療センター偏食外来担当の大山牧子医師は指摘する。
子どもへの強制をやめて偏食を改善
◇親の3割が悩む
2015年度乳幼児栄養調査(厚生労働省)によると、2~6歳児の保護者の約3割が子どもの偏食で困っていると答えている。日本では子どもの食行動は育児の問題とされ、子どもに偏食があると、親、特に母親に重圧がかかりがちだ。その結果、「食べさせるために良かれと思って行う親のさまざまな努力の多くが、子どもへの強制になっています」と大山医師。
基本的に子どもは好きな食べ物しか口にしない。また、用心深い性格の子どもにとって新しい食べ物は「モンスター」のようなもので、怖いと感じているケースもあるという。
「ちゃんと食べさせようとする親ほど、子どもが食べないといらいらしたり怖い顔になったりしやすく、子どもはますます食べようとしなくなってしまいます」
◇栄養より親子で楽しむ
偏食を改善する近道は、子どもに強制しないこと。「親子で食卓を楽しむことを第一に考えましょう」
親は食卓の環境を整え、決まった時間に子どもの発達に応じた食事を用意する。それを食べるか食べないか、どうやって食べるのかは子どもが決める。栄養にはこだわらなくてもよい。食べ物で遊んだり、口に入れて吐き出したりしても叱らない。「食べ物に興味を持たせることが大事です」。
親は同じ食卓で健康的な食事を楽しく、おいしそうに食べる。親の役割は楽しい食事のお手本を見せることだ。子どもに強制しない食事を2週間続けると子どもの態度や表情が変わり、食べる料理の種類は自然と増えていくという。
「食べることは学習するものです」。食べ方だけでなく、おなかがすいたといった感覚も、大人とのコミュニケーションの中で子どもは学んでいくのだという。残念ながら、日本では子どもの偏食に適切に対応できる専門家はほとんどいないが、全国でも数少ない子どもの偏食外来を設置している神奈川県立こども医療センターでは、子どもの偏食に悩む保護者向けにオンライン相談を行っている。偏食への具体的な対処法を紹介するパンフレットは、神奈川県小児保健協会のウェブサイトで閲覧できる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/01/29 05:00)
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