治療・予防

ビタミンD欠乏症の子どもが増加
心身の発達に影響も

 子どもの「ビタミンD欠乏症」が増えている。医療保険のデータを用いた研究によると、2009~14年の5年間でその数は約3倍になった。その背景とビタミンDの不足が体に与える影響や対策について、この研究を取りまとめた赤坂ファミリークリニック(東京都港区)の伊藤明子院長に聞いた。

ビタミンDを多く含有する食品

 ▽骨が変形する「くる病」を発症

 ビタミンDには、カルシウムやミネラルを骨に沈着させ、その成長を促す働きがある。骨量を保ち、骨粗しょう症を防ぐために不可欠な栄養素だ。

 ビタミンDが不足すると、小児では、背中が曲がったり、足の骨が変形したりする「くる病」を発症することがある。近年、ビタミンDの働きに関する研究が進み、「免疫機能や皮膚、脳、発達などにも重要な役割を担っていることが分かってきました」と伊藤院長。

 ところが、ビタミン欠乏症と診断された1~15歳の子どもの割合は、09年の10万人当たり3.88人から14年には12.4人に急増。その背景として、伊藤院長は偏った食事や日光不足を挙げる。また、「母体が妊娠前からビタミンD欠乏や低下状態だと子も不足しがちです。母乳にはビタミンDが含まれる量が少なく、子どもが生後9カ月や1歳頃まで母乳のみで離乳食を与えない場合もビタミンDが欠乏しやすくなります」と言う。

 ▽日光浴でビタミンD生成を

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、1日に摂取するビタミンDの目安は、生後1歳未満で5マイクログラム、成人で5.5マイクログラムだ。ビタミンDは卵の黄身や魚などに多く含まれ、含有量はマイワシ(100グラム)で32マイクログラム、サケ1切れ(80グラム)で26マイクログラム。

 だが、「食物アレルギーを恐れるあまり、生後半年を過ぎても離乳食に卵や魚を避けたり、食事内容が偏ることにより、乳幼児でビタミンDが不足するケースが多い」と伊藤院長は問題視する。

 ビタミンDは紫外線を直接皮膚に浴びることで作られるが、子どもに紫外線対策を徹底する保護者は多く、外遊びの機会の減少もビタミンD不足の大きな要因という。特に冬場は紫外線量が少ないため、積極的に外で遊ばせるなどの工夫が必要だ。

 伊藤院長は「栄養に詳しい医師に相談してサプリメントを取り入れるのも一つの方法です。血液検査でビタミンDの値を調べることもできますが、乳幼児では採血しづらいこともあるので、食と栄養全般を含めて医師に相談してください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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