治療・予防

不適正な枕が不調の原因に
~自分に合う枕とは?(16号整形外科 山田朱織院長)~

 朝起きたら肩が凝っていた、頭痛がする、首が痛い―などの症状で憂鬱(ゆううつ)な経験をしたことはないだろうか。16号整形外科(相模原市)で枕外来という珍しい診療科を設ける山田朱織院長は「自分に合わない枕で寝たことによる不良姿勢が原因になった可能性があります」と指摘する。

枕が自分に合っているかチェックする

 ◇枕で「治療」

 枕外来は、2002年に16号整形外科が全国で初めて設けた専門外来だ。「患者さんで多いのは、肩凝りと首の痛み、そして頭痛、手のしびれです。それぞれの症状に対して適正な枕の使用を指導して、睡眠中の姿勢を改善します」と山田院長は説明する。

 枕に着眼したのは、症状と姿勢が密接に関係するからだ。「日中は自分で姿勢をコントロールできますが、就寝中の姿勢は寝具、中でも枕が最も重要な役割を果たします。寝返りをスムーズに行えるように枕を調節することで症状が改善することは、父の代から始めた枕による治療以来約50年の実績があります」と語る。

 2004~13年に同院を頸椎(けいつい)疾患で受診した410人(男性195人、女性215人、平均年齢50.5歳)を対象に、それぞれに適した枕の効果を調査したところ(平均110.9日間使用)、肩凝り、頸部(けいぶ)痛、不眠の症状は7割以上の患者が、手のしびれ、頭痛も5~6割の患者が改善したという。

 ◇手作り枕の指導も

 「適正な枕を選ぶ上で大事なのは高さ、硬さ、平らな形状です。高さの目安は男性7.5センチ、女性6センチで、頸椎(けいつい)の傾斜角度は15度程度です。年齢、体格、加齢による体の硬さなどで変わるため、枕外来では5ミリ単位で微調整します。頭を動かしても、5ミリ以上沈まない硬さも必要です」

 自分の枕が適正かを判断するには、あおむけで両手を交差させ、ひざを立てた状態で身体を左右に倒してみる。丸太が転がるような滑らかな動きなら問題はないという。同じ状態で横になり、額から胸の間をつなぐ線が床と平行になっていることも必要だ。

 枕外来では、玄関マットとタオルケットを使った手作り枕の指導も行う。旅先ならバスタオルを4~6枚折り重ねれば作れる。また併設する山田朱織枕研究所で、専門スタッフが計測した適正な枕をオーダーメードすることも可能だ。「正しい枕で良質の睡眠をとることは、健康の土台づくりであり、治療の第一歩です」と山田院長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】

新着トピックス