治療・予防

首凝りのセルフケア 
筋肉の構造に着目した運動が有効

 首の凝りに悩まされる人は多い。パソコンやスマートフォンの見過ぎで、10代でもひどい首凝りを起こす人がいる。整形外科への受診が基本だが、自分でできるメンテナンスやケアも知っておきたい。文京学院大学(埼玉県ふじみ野市)保健医療技術学部理学療法学科の上田泰久さんは「首凝りの改善は、関与する筋肉を別々にほぐすのがポイントです。筋肉の重なりを意識した運動を覚えると自己管理がしやすくなり、病院へ通う頻度が少なくなります」と話す。

まずは2週間、続けてみましょう

まずは2週間、続けてみましょう

 ▽首の筋肉は3層構造

 首の後ろ側の筋肉は基本的に3層構造になっている。どの層の筋肉も首や頭部の動きに関わるが、首凝りへの関与が特に大きいのは、最深部にある3層目の後頭下筋群だという。

 「後頭下筋群は、大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋の四つから成る筋肉で、首の動きや目の動きに伴う頭部の微妙な動きを支えています」と上田さんは説明する。

 頭部は横から見るとこめかみの辺りに重心があり、前のめりの状態になりやすい。例えばパソコンの画面を見ながら目を動かし、長時間作業を続けると、前に傾いた頭を首の後ろにある3層の筋肉が支え続けるため、首凝りが生じやすいのだという。

 ▽層の癒着を剥がす運動

 首凝りの改善は、3層目の後頭下筋群をほぐすことが重要になる。しかし後頭下筋群は体の表面から深い場所に位置するので、マッサージでほぐすのは難しい。上田さんは「筋肉の収縮と弛緩(しかん)を繰り返す筋肉ポンプの作用で3層の筋肉を個々に動かし、癒着を剥がして血流を促進させます」と言う。

 あおむけになり目を閉じ、左右20度ずつ、頭を転がすようにゆっくりと動かす「イヤイヤ運動」、顎を指4本分ゆっくりと上げて元に戻す「顎上げ運動」で、後頭下筋群自体をほぐす。次に頭で枕を押す「枕押し運動」で2層目と1層目の筋肉を動かし、後頭下筋群との癒着を剥がす。最後に「顎下げ運動」で首の前側の筋肉を動かし、後頭下筋群をさらにほぐす。動かし過ぎると他の筋肉が動いてしまうので、動かす角度に注意する。

 上田さんは「まず、2週間継続してみてください。2週間続けても症状が改善しない、または手にしびれがある場合などは、関節や神経の問題かもしれないので、医療機関で詳しい検査をしてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)


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