治療・予防 2024/12/27 05:00
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精神科と心療内科。両者の違いは、あまりよく知られていないのではないだろうか。治療対象となる病気が異なり、精神科は精神疾患、心療内科は社会的ストレスに起因する内科疾患をそれぞれ対象としている。
「本来は異なる科ですが、心と体はお互いに影響を及ぼし合うので精神的不調から身体的不調になったり、身体的不調から精神的不調を来したりすることもよくあり、診療の対象となる病気が重なる部分があります」と、弘前あすなろメンタルクリニック(青森県弘前市)の工藤周平院長は説明する。
精神疾患を診る精神科と心身症を診る心療内科
◇少ない心療内科専門医
「しかし、医療機関によっては精神科と心療内科の両方を標榜(ひょうぼう)しているところも珍しくないことから、より曖昧で違いが分かりにくく、どちらを受診すべきか迷われる方もいらっしゃいます」
精神科では、希死念慮(死にたい気持ち)、幻覚や妄想、強いいらいらや不安感などを伴う状態の患者を診療する。病名としては統合失調症、双極性障害(そううつ病)、うつ病、不安症などが挙げられる。
一方、心療内科ではストレスなどが原因で身体に影響を及ぼす心身症を診療する。胃潰瘍や下痢、ぜんそく、高血圧などに心理的なきっかけがある場合、身体的異常を治療しながら背景にある精神的不調も診ている。
なお、心療内科専門医は精神科専門医と比べて圧倒的に数が少なく、日本心療内科学会の登録医および登録指導医は全国に357人(11月30日現在)。心療内科の独立した講座がある大学も限られている。
◇症状のつらさで判断を
とはいえ、街では心療内科の看板を頻繁に目にする。その理由は、心療内科と掲げることで患者の間口が広がる可能性があるという。精神科にとっては患者が受診する際の抵抗感を下げ、内科にとっては幅広い患者を対象とすることができるためだ。
「どちらを受診するか迷ったら、『心と体のどちらの症状がつらいのか』という視点で決めてみるのもよいかもしれません。ただし、不調を感じたらいずれの科でもよいのでまずは受診してみることがもっとも大切です」と工藤院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/04/09 05:00)
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