治療・予防

社会生活に支障―ゲーム障害 
現実逃避が背景に

 世界保健機関(WHO)は2018年に公表した国際疾病分類(ICD)で、ゲーム障害を精神神経科の病気の一つと位置付けた。ゲーム障害とは、ネットを使うオンラインゲームなどに熱中するあまり、通学や通勤などの社会生活ができなくなる状態を指す。ゲーム障害を含めネット・スマホ依存症の専門外来を開設している大阪市立大学医学部付属病院神経精神科の片上素久医師に聞いた。

ゲームに熱中するあまり、社会生活に支障が

 ▽10代男子に目立つ

 「ゲームをする時間や頻度をコントロールできない、日常行動よりゲームを優先させる、問題が起きてもゲームを続ける―という状態が12カ月以上続き、日常生活に重大な支障が表れる場合、ゲーム障害と診断されます。

 本人はゲーム障害の自覚がなく、病気とは思っていません」と片上医師は説明する。以前のゲームは1人で遊ぶものが多く、終了というゴールがあり、飽きることもあった。一方、オンラインゲームは、バージョンアップし続けるため終わりがなく、また誰かとつながってチームで戦う形式が熱中しやすくさせるのだという。

 片上医師が神経精神科にネット・スマホ依存症の専門外来を開設したのは2014年。ゲーム障害の患者は10代の男子が90%と圧倒的に多い。「勉強の内容が難しくなってくる中学2年と高校2年時に発症しやすい印象です」と片上医師。

 ▽親の変化が治療のカギ

 ゲーム障害の背景には、学校の勉強や部活動での成績不振、友達との関係がうまくいかない、親の過度の期待などからの逃避があるという。また、勉強が将来何の役に立つのか分からず、すぐには成果が得られないのに対して、ゲームは結果が出るのが早い。チームでプレーして、自分の活躍で勝てば、仲間から尊敬もされる。「現実から逃避したい子どもの前に、彗星(すいせい)のように現れたのがゲームです」

 ゲーム障害の治療では、本人の将来の選択を親が受け入れられるよう、親が変わることが大事だと片上医師は説く。「大学受験だけを尊重せず、例えば声優になりたい、パソコンの専門学校に行きたいという子どもの選択を理解することです」

 カウンセリング、認知行動療法、服薬など、治療は長期にわたるケースが多いが、次第にゲームに没頭する自分の姿を嫌だと感じる気持ちが芽生え、そこから本来の自分を取り戻していくという。「人間の成長にとってとても大事な時機を失わないよう、早期に心療内科や精神科などを受診してください」と片上医師は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)

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