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誰かと常につながっている状態に疲れて、今まで築いた人間関係を突然断ってしまう「人間関係リセット症候群」。正式な病名ではないものの、SNSのアカウントを削除してしまう他、休職や転職を繰り返したり、音信不通になったりするなど看過できないケースもある。
「SNSの普及により、人間関係リセット症候群やそれに近い状態にある人が増えています」と、早稲田メンタルクリニックの益田裕介院長は語る。
他人との関係を突然断ってしまう「人間関係リセット症候群」
◇精神疾患も要因に
人間関係リセット症候群の要因には、大きく分けて2種類あるという。「周りの人の目を気にし過ぎて人間関係に疲れてしまう性格と、社交不安障害や引きこもり、回避性パーソナリティー障害、境界性パーソナリティー障害、ADHD(注意欠如・多動症)などの精神疾患です。いらいらすると衝動的にリセットしてしまうことがあります」
また、とても繊細で敏感すぎるHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる性格の人も、人間関係でストレスを抱えやすく、そこから逃れるために人間関係をリセットする傾向がある。SNSを頻繁に利用する若年層に多いと思われがちだが、年齢や性別などはあまり関係ないという。
◇深追いせず見守る
どのような対策を講じればよいのか。益田院長は「感情が高ぶったり、お酒に酔ったり、睡眠薬などを服用したり、不安定な精神状態に陥ったりしたときに、普段は表に出ない特性が表れてしまうケースが非常に多く見られます。そのようなときは、思い切ってスマホを触らないようにしましょう」とアドバイスする。
また、「なぜ周りの人の目が気になるのか」「怒りのコントロールはどうすればよいのか」など、自分が抱える内面的な問題としっかり向き合い、他人との距離をどう測るかを考え、交渉術を学ぶのもよい。
人から関係性をリセットされてしまった場合については、相手の精神状態が不安定であったことが原因だと考えられるため、自分を責めたり、落ち込んだり、相手を深追いしたりせず、そっと見守りながら「落ち着いたらいつか帰ってくるだろう」という気長な心構えが賢明な対応だという。
「今まで築き上げてきた人間関係は大切な財産です。いっときの感情に流されて相手を切り捨てるのではなく、人とつながっていることに疲れたら一時的にでもミュート(ツイートの非表示)機能を活用するなどしてしばらく距離を置くことをお勧めします」と益田院長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/04 05:00)
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