治療・予防

小学生のゲーム依存
~ゲームのやり過ぎで依存症に(富山大学 山田正明助教)~

 インターネットのゲームに熱中し過ぎて日常生活に支障を来す「ゲーム依存」。子どもの引きこもりや不登校の原因にもなり、将来に影響を及ぼす可能性もある。富山大学医学部の山田正明助教らの研究によると、小学生の5.6%にゲーム依存の疑いが見られた。

ゲーム依存とネット利用時間

ゲーム依存とネット利用時間

 ▽小学生に調査

 ゲーム依存は、ギャンブル依存症などと同等の精神疾患として世界保健機関(WHO)に認定されている。ゲームのやり過ぎで脳内に興奮をもたらす神経伝達物質のドーパミンが過剰に分泌され、脳の神経回路が変化を来し、ゲームをしたいという衝動が抑えられなくなる疾患。診断項目は〔1〕ゲームをする時間をコントロールできない〔2〕生活の中でゲームを優先する〔3〕ゲームによって生活上で重大な問題が起きているがやめられない―の三つがある。

 山田助教は2018年7~9月、富山県の小学4~6年生1万3092人にゲーム依存の有無、平日のネット利用時間(ゲーム以外のインターネット交流サイト、動画の閲覧を含む)、生活習慣、学校・家庭環境などに関するアンケート調査を実施。ゲーム依存については項目全てに「はい」と答えた子どもを「依存の疑いあり」とした。

 ▽ネット時間が長いほど危険

 ゲーム依存が疑われる子どもは全体で5.6%。うち男子は7.8%、女子は3.2%だった。「ゲーム時間をコントロールできない」は全体で37.5%、ネット利用2時間以上のグループで半数に上った。「生活でゲームを優先」は全体で19.1%。「重大な問題が起きている」は全体で14.3%、うちネット利用4時間以上のグループでは34.8%を占めた。「ネット利用が長時間であるほど依存の危険性は高まります」

 さらに分析した結果、運動不足、午後11時以降に就寝、登校拒否感情がよく起こる、親との会話が少ない、家庭内のルールがない、などゲーム依存との関連性が高かった。山田助教は「ゲームは安全なものではなく、数パーセントは依存症という精神疾患になることを認識してほしい。子ども自身が規則正しい生活習慣を守ること、親は子どもとの会話を増やし、娯楽のネット利用は一日2時間未満にするなどルールを作ることが重要です」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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