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誰しも経験があるだろう幼少期のおねしょ。しかし5歳以上で、1カ月に1回以上、3カ月以上続く場合は「夜尿症」に該当すると、東京都立小児総合医療センター泌尿器科の佐藤裕之部長は話す。
子どもが5歳を過ぎてもおねしょをしていれば保護者は心配するが、「ある程度は自然治癒します。子供の発達のスピードに合わせて、本人の気持ちを尊重しながら治療に向き合うのがよいでしょう」と話す。
5歳以上で、月1回以上、3カ月以上続くおねしょは「夜尿症」に当たる
◇多くの子に覚醒障害
夜尿症の原因には、「夜間多尿」「ぼうこうの問題」「覚醒障害」の三つがある。通常、睡眠中は抗利尿ホルモンの働きで尿量が減るが、昼と同程度の尿が夜にも出るのが夜間多尿だ。ぼうこうの問題は、ぼうこうの容量が通常より小さいケース。そして、夜尿症の子供の多くが抱えているのが覚醒障害だ。
「睡眠中のおねしょに気付いて起きる子もいますが、布団がぬれてひんやりしても起きない子がいます」と佐藤部長は説明する。
診察は問診が中心となる。その際、本人がおねしょに気付いて起きるか、尿量は多いか少ないか、おむつをしている子どもなら一晩にぬれた回数などを医師に伝えると、診断や治療がスムーズに行えるという。
「受診のタイミングは、本人の意思がはっきりしてくる7歳以降ぐらいを勧めますが、5歳以上で一度、泌尿器科医か小児科医に相談するのもよいでしょう。おねしょに加え、昼間に尿や便を漏らすなどの問題がある場合は、5歳未満でも受診しましょう」
◇アラーム療法
治療で最初に行うのは生活指導だ。「就寝前にトイレに行ったり水分摂取を控えたりする習慣を付けるよう指導します。それでも効果が見られなければ、薬物療法やアラーム療法へと進んでいきます」
アラーム療法は、覚醒の問題がある場合に使われる。睡眠中、下着の中にセンサーを入れておき、尿でぬれるとピーッと音が鳴る仕組みだ。「なぜ効果があるかは分かっていませんが、7割以上の子供に効果が表れています。徐々に尿を我慢できるようになり、朝まで頑張れる可能性が出てくるようです」
夜間多尿の場合は、尿量を減らすのに効果的な抗利尿ホルモン剤を服用する。ぼうこうが小さいケースでは、ぼうこうの収縮を抑制する抗コリン薬を用いると尿をためやすくなる。それぞれの原因に合わせた治療薬があり、子供の状態を診た上で組み合わせて用いる。
「おねしょをしたことで、親が叱るのは効果がありません。大切なのは、お子さん自身が夜尿症を理解して治そうという意欲を持つことです」と佐藤部長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/08/08 05:00)
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