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子どもの発達支援、心身の障害の回復、認知症や痛みの緩和など、さまざまなケアに効果が期待できるという音楽療法。「近年、医療や福祉・介護などの各方面で取り入れる動きが広まっています。子どもから高齢者まで幅広い世代をサポートすることが可能です」と、日本音楽療法学会の猪之良高明副理事長は説明する。
受動的と能動的の2種類がある音楽療法
◇認知症患者にも有効
音楽療法は、健康に不安のある患者を音楽を用いて回復に導き、社会適応能力を向上させることを目的としている。言語を用いる治療が難しい患者にも有効だ。音楽を「聴く」ことを中心とした受動的音楽療法と、「歌う」「演奏する」などに重点を置いた能動的音楽療法の2種類がある。
日本音楽療法学会による認定資格を取得した音楽療法士が、医療現場や高齢者施設、障害者施設、自治体、特別支援学校などで多面的な支援を行っており、期間や費用は内容や対象によって異なる。
「知的障害や発達障害のある子どもには、ピアノと一緒に楽器を演奏したり、歌ったり、体を動かしたりと、音楽療法士とのコミュニケーションを通して社会性を獲得する場となっています」
認知症患者には、昔よく聴いた懐かしい音楽や好きだった音楽などを聴いたり、大人数で歌ったり演奏したりすることで、他者とのつながりを感じ精神的な安定をもたらす効果が期待できるという。また、特に自閉スペクトラム症と統合失調症の患者で、社会性や自発性の向上が期待できるという。
◇個人に合う見立てを
音楽療法を活用する上で気を付けるべき点は、患者に無理強いをしてはならないことだ。「高齢による聴力の低下でうまく聞き取れなかったり、長時間にわたり音楽に触れることでかえってストレスを感じたりする人もいます」
曲のテンポやメロディーには個人の好みがあるので、利用者がどういう性格で、何を求めているのかを把握し、状態に適した曲を選ぶとリラックスやストレス解消など多くの効果が期待できるという。
苦しんだり耐えたりすることなく、楽しみながら自由に行うことができるのが音楽療法の特徴だ。「自分を表現しながらコミュニケーションが取れたり、表情が豊かになったりと、患者さんの人生にプラスになり生活の質が向上するケースがとても多く見られます」
音楽療法に関する各種問い合わせは日本音楽療法学会のホームページ(https://www.jmta.jp)から。(メディカルトリビューン時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/24 05:00)
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