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歯の喪失につながる虫歯や歯周病の主な原因は、歯の表面に付着する細菌の塊であるプラーク(歯垢=しこう)だ。口臭の原因にもなるプラークを取り除き、口の健康を維持・増進させる正しい歯磨きの方法について、神奈川歯科大学(神奈川県横須賀市)の荒川浩久特任教授に聞いた。
歯磨きの三つのポイント
◇順番を決めて磨く
虫歯や歯周病の予防には、プラークの形成を抑制、除去することが重要になる。「虫歯は、プラークの中の細菌が糖分を分解してつくる酸により、歯のカルシウムやリンが溶け出す病気です。プラークを除去するために、食後と就寝前に歯を磨く習慣を付けましょう。就寝前は特に念入りに磨きます」
歯と歯の間(歯間部)、歯ぐき(歯肉)との境目である歯頸部(しけいぶ)、上下の歯がかみ合わさる面はプラークが付きやすいため、念入りに磨く。「歯の表側、裏側、かみ合わせの面に分けて順番を決めて磨くことで、磨き残しを防ぐことができます。歯頚部には、歯周ポケットと呼ばれる隙間に入りやすい毛先の細い歯ブラシを使用し、歯間部には、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると、効果的にプラークを除去できます」
歯磨き粉はフッ素入りで、就寝前を含めて1日2回以上の使用が推奨されている。「フッ素は、唾液から歯にカルシウムやリンが戻る『再石灰化』を促進し虫歯を予防します」
◇歯ブラシは毎月交換
歯磨きでは「1カ所で20回以上磨き、歯ブラシを取り換える目安は1カ月に1本です。鉛筆を持つように握り、毛先が広がらない程度の軽い力加減で磨きましょう」。その際、〔1〕毛先の当て方〔2〕力加減〔3〕動かし方(小刻みに動かして1~2本ずつ磨く)―の三つのポイントを意識するとよい。
歯の表側や奥歯のかみ合わせの面は、毛先を直角に当てて小刻みに動かし、少しずつ奥から前に移動する。表側の歯間部付近は、歯ブラシの先端(爪先)や後端(かかと)を上手に使う。奥歯の裏側は、歯ブラシを斜め横から入れる。前歯の裏側や凹凸している歯は、歯ブラシを縦に当てて磨く。歯間部付近も歯ブラシを縦にし、脇の部分を使う。
歯周病の予防や改善には、毛先の細い歯ブラシを歯頸部に45度の角度で当て、細かく前後に動かすとよい。
荒川特任教授は「歯磨きはポイントを押さえた上で、口腔(こうくう)の状態に合わせて工夫しましょう。プラークは完全には除去できないので、歯の抵抗力を高めるために、フッ素入り歯磨き粉を適切に使用しましょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/07/17 05:00)
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