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視野が徐々に欠けていく緑内障。失明に至る危険性も高いが、発症早期から治療を始めれば進行を遅らせることが可能だ。たじみ岩瀬眼科(岐阜県多治見市)の岩瀬愛子院長に話を聞いた。
緑内障の初期(左)と末期の見え方
◇進行後に自覚症状
緑内障は中途失明に至る原因の第1位で、40歳以上では20人に1人が発症する身近な病気。ただ、早期発見、早期治療の重要性は十分に知られておらず、かなり進行してから眼科を受診する人が少なくない。「発症初期から中期では視力に変化がなく、視野の欠けにも自分では気付きにくいのが特徴。自覚症状による早期発見は極めて難しいです」
目から入ってきた情報を脳に伝える視神経の障害により視野が欠けると、その部分はぼやけて見えるようになる。だが、通常は両方の目で物を見ており、片方の目のぼやけた部分がもう一方の目で補われるため、異常に気付かない。脳内で見えない所を補完してしまう機能もある。
しかし、やがて両目とも視野の欠けが大きくなると、全体的にぼやけて見える範囲が狭くなり、さらに進行すると視力も著しく低下する。このような自覚症状が表れたときには、既に後期まで進行しており、日常生活にも支障が生じる。
◇検査は1度だけでなく定期的に
緑内障による視野の欠けは、元には戻らない。治療は進行を遅らせるために主に点眼薬を用い、生涯にわたり治療を継続しなければならない。「進行の速さには個人差がありますが、早期から適切な治療を始めれば、将来も日常生活に支障のない視野を維持できる可能性が高まります。そのためにも、まずは早期発見の機会を得ることが重要です」と岩瀬院長。
職場の眼科検診は視力検査だけの場合も多く、緑内障を発見する検査は行われない。早期発見には、眼底検査や眼圧検査に加え、できれば視野検査などを受けることが必要だ。それも定期的に行うのが望ましい。
眼圧が高いタイプは進行が速いので、特に早期発見が肝心。だが、日本人の緑内障患者の約7割は「正常眼圧緑内障」で、眼圧が正常範囲内でも油断は禁物だ。
たとえ早期発見できなくても、さらなる進行を抑えるためには前向きに治療に臨むことが大切。岩瀬院長は「治療の継続は容易ではありませんが、一人で悩んだりせずに、眼科医と共に取り組んでいきましょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/07/24 05:00)
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