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かんだり、飲み込んだりするのが難しい摂食嚥下(えんげ)障害のある子ども向けの食品「インクルーシブフード」。見た目は普通の食事と変わらず、食べやすい形状で味わえる料理だ。開発に携わる東京大学医学部付属病院リハビリテーション科の井口はるひ講師に話を聞いた。
おいしいインクルーシブフード
◇子ども向けメニュー
現在、高齢者を含め、脳性まひやてんかんなどが原因で摂食嚥下障害となった人は、全国に100万人以上いるとされる。うまく飲み込めないと誤嚥(ごえん)を起こし、肺炎や窒息のリスクとなるため、食事ではとろみを付けたり、ペースト状にしたりする工夫が必要だ。
「これまでは高齢者向けの介護食が大半で、子ども向けのメニューがありませんでした。そこで、障害のある子どもの親が団体を作り、誰でもおいしく食べられる料理の開発、普及に取り組んだのがインクルーシブフードの出発点です」
東京都と東京医科歯科大、東京大は2022年、共同事業としてインクルーシブフードの開発に取り組み、日本料理店やパティシエが協力し、井口講師も監修者として助言した。
23年2月には完成披露会を開催。メニューは、ドリアや海老フライ、ソーセージなどが入った子ども向けの弁当と、パフェやケーキなどスイーツ3種。参加した子どもたちの反応も良く、ある親は「いつもは残すのに、全部食べられた」と喜んでいた。
◇食の選択肢広げ
料理はそれぞれが均一な形態ではなく、異なる食感を組み合わせ、食べる「難易度」が異なる。ゼリーのように丸飲みできるものから、口の中でまとめないといけないもの、舌でつぶせる程度の硬さのものまである。このため、弁当には食べるのが難しそうなときに掛けるあんを準備した。「いろいろな食感を体験する機会が少ない障害児にとって、楽しい経験になります」と井口講師。
インクルーシブフードのような飲食物を提供するレストランやカフェは徐々に増えている。今回の開発に協力した「日本料理 関西」(愛知県犬山市)は、摂食嚥下障害の人向けの弁当を全国に冷凍で宅配している。
井口講師は「多くの人にインクルーシブフードを知ってもらい、市場を広げることで、開発にトライする企業が増えると期待しています」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/08/25 05:00)
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