脳性まひ〔のうせいまひ〕

 脳の発達する時期に脳に受けた障害のために、手足の運動が障害された状態を脳性まひといいます。

[原因]
 脳奇形などの生まれつきのもの、重度の妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や妊娠中の感染などの異常、難産、あるいは未熟児として生まれたために呼吸の異常から起こる酸素欠乏や頭蓋内出血、重症黄疸(おうだん)、生まれたあとにかかった脳炎や髄膜炎などいろいろな原因により起こります。脳性まひは運動の障害であり、知能は正常な子どももいますが、知能の遅れやてんかんの合併もあります。

[症状]
 症状は、障害された脳の部位や程度によって異なり、手足がまひしてかたくなる痙(けい)性まひ、不随意運動としてねじれるような動きが伴うアテトーゼ型や、からだがやわらかくなり運動失調が強くなる型などがあります。痙性まひは、手足のどこか1カ所だけのまひ、両下肢のまひ、手足の片側だけのまひ、手足全部のまひなどがあります。
 生後数カ月は、筋肉の緊張が弱いため、手足の動きが少ない、くびがすわるのが遅れる、目でものを追わないなどの発達の遅れがみられますが、異常がはっきりしないこともあります。生後半年ごろから徐々に異常がはっきりしてきて、お座りや歩行開始が遅れ、手足の筋肉がかたくなってきて、曲げ伸ばしに抵抗があり、両足を伸ばしていて股の開きがわるくなる、過剰な反射が出るなどの症状があらわれます。軽度の場合はつま先歩きになり、重度の場合には歩行ができません。
 アテトーゼ型の場合には、からだがねじれたり、手足を動かそうとすると意思に反してねじれるような動きが加わり、目的の運動の達成がむずかしくなります。

[治療]
 根本的治療法はなく、運動障害の程度を軽くして、生活のレベルをできるだけ高くするために、運動訓練をおこないます。訓練は、なるべく早く開始したほうが効果が高いので、早く診断し早期に訓練を開始します。体操や座る、ハイハイ、歩くなどの練習とともに、筋肉がかたくなって関節が伸びなくなるのを防ぐためにマッサージや関節を十分に伸ばす訓練をおこないます。
 食事や呼吸の訓練が必要なときは訓練を専門家に受けるとともに、やりかたを習って家でも続けることが必要です。筋肉がかたくなってきたら筋肉の緊張をやわらげる薬をのむこともあります。また、知的障害、ことばの発達の遅れやてんかんを合併していれば、これらに対する治療も必要です。
 専門の病院以外にも、各地域に療育施設があり運動訓練、言語訓練や幼児教育が受けられ、学童以後は特別支援学校でも訓練が受けられます。脳性まひの治療には、小児科医(小児神経科医)以外に、整形外科医、理学療法士、作業療法士、言語療法士、心理療法士、教育者、ソーシャルワーカーなどが協力してあたります。
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