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休日に遅く起きる、あるいは夜更かしをしたことで、生活リズムが平日と数時間ずれてしまう「社会的時差ぼけ」。早稲田大学スポーツ科学学術院(埼玉県所沢市)の谷沢薫平准教授らの研究によると、たった1回でも休日明けの朝の血圧を過度に上昇させることが分かった。
社会的時差ぼけ試験(右)と対照試験の結果。朝の血圧上昇幅
◇健康害する可能性
2019年に明治薬科大学が発表した調査によると、社会的時差ぼけにより起床や就寝といった生活リズムが1時間以上ずれたことがある人は約3700人の回答者のうち40%だった。
谷沢准教授は「社会的時差ぼけは気付かないうちに、健康状態を悪化させる可能性がある」と指摘。社会的時差ぼけが慢性的に起きる人は、肥満、メタボリックシンドローム、サルコペニア(筋肉量減少、筋力低下)、うつ病などになりやすいことが報告されている。
◇休日明け朝の著しい上昇
休日明けの月曜日の朝は、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患を発症しやすいことも知られている。主な原因は血圧の急速な上昇。朝は基本的に血圧が上昇するが、月曜朝は上がり方が著しいため心血管疾患が起こりやすくなるとされる。
谷沢准教授らは、社会的時差ぼけが朝の血圧に及ぼす影響を検討した。平均年齢26歳の健康な男性20人を対象に、週末に2~3時間遅く起床・就寝(社会的時差ぼけ試験)と、週末も平日と同じ時刻に起床・就寝(対照試験)を行った。
その結果、社会的時差ぼけ試験では、月曜朝の血圧上昇幅は約35mmHgで、対照試験より約10mmHg増えていた。上昇幅が大きい人ほど動脈が硬いことも分かった。
血圧が過度に上昇する理由は「生活リズムにずれが生じることで休日明けに動脈が硬くなり、上がりやすくなるのでは」と谷沢准教授。「就寝・起床時刻が一時的に1時間程度ずれるのは問題ないかもしれないが、休日に夜更かしや寝だめをできるだけしない方が健康にはよいでしょう。平日に十分に睡眠を取ることが大事です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/27 05:00)
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