治療・予防 2024/11/22 05:00
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食事などで摂取した糖質からエネルギーを生み出すのに欠かせないビタミンB1。代表的な欠乏症の「かっけ」は江戸時代から大正時代にかけて流行した。静岡県立総合病院(静岡市葵区)リサーチサポートセンターの田中清臨床研究部長は「現代は、かっけのような欠乏までいかない、ビタミンB1の不足に注意が必要」としている。
ビタミンB1を多く含む食べ物
◇かっけはまれだが
ビタミンB1は、さまざまな臓器の働きに関与している。かっけを患うと、手足のしびれのような神経の症状、全身倦怠(けんたい)感や下肢のむくみなど心臓に関連した症状が表れる。
今かっけの発生はまれだが、白米ばかりを食べ、清涼飲料水を大量に飲むようなことはリスクとなる。「大量に取った糖質をエネルギーに変換するため、体内ではより多くのビタミンB1が必要になりますが、これらの飲食物からは必要量を摂取できず、ビタミンB1が欠乏します」
心臓のように常に動き続ける臓器には、大量のエネルギーが必要。ビタミンB1が欠乏するとエネルギー供給が不十分になり、心臓の負担が増す。働きが低下して心不全になる可能性もある。
◇高齢者で濃度低く
さらに田中部長は「欠乏とは言えない『不足』のレベルでも、心不全のリスクになる可能性があります」と指摘。高齢者に多い心不全は、2030年に国内患者数が130万人を超えると推計され、「心不全パンデミック」といわれて対策が急務となっている。
田中部長らは、施設に入居する高齢者51人を対象に血液のビタミンB1濃度を調査した。その結果、▽重度の欠乏とは言えないが濃度は低い▽濃度が低いほど、心臓の負荷を表す指標「BNP」が上昇する―ことが分かった。心臓病患者68人に対する調査でも同様の傾向が出ており、「ビタミンB1が不足している人は多いと考えられる」。
ビタミンB1は肉類、魚類、穀物、豆類など多くの食品に含まれる。「さまざまな食品をバランスよく取れば、ビタミンB1を含む多種多様な栄養素を摂取できます。ビタミン剤は、食生活のバランスを取った上で適度に利用するなら良いでしょう」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/02/14 05:00)
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