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虫歯や歯周病の原因となる口の中の「悪玉菌」は、飲み込むと腸内環境に悪影響を及ぼす可能性があるという。グランプロデンタルクリニック銀座(東京都中央区)の福島一隆院長に症状や対策について聞いた。
腸内環境を守るためにも口腔ケアを
◇大腸まで届く口内細菌
口の中の細菌は口内細菌と呼ばれ、歯の表面や歯茎、歯と歯茎の境目、粘膜や舌などに約700種、4000億個以上が生息している。その多くは悪さをしない常在菌だが、虫歯菌や歯周病菌といった悪玉菌が増えると周りの菌も影響を受けて口内環境が悪化し、虫歯や歯周病が引き起こされる。
虫歯菌や歯周病菌は、炎症を起こした歯茎の毛細血管から血流に乗って全身に散らばり、さまざまな病気に関連することも知られている。最近は、体内に侵入した悪玉菌が及ぼす健康への影響が注目されている。
飲み込まれた口内細菌は胃酸で殺菌されるが、死滅するわけではない。「口内細菌の約3割は殺菌されずに大腸まで届くとの研究報告があります。中でも強力なのは歯周病菌の『ジンジバリス菌』で、大腸まで到達して腸内環境を変化させるといわれています」と福島院長。
口内悪玉菌が腸に及ぼす影響の詳細はまだ不明だが、「腸内細菌はおなかの調子だけでなく、全身の免疫機構などにも関わるため、口内悪玉菌で腸内環境が乱れると健康にも何らかの影響があると考えられます」。
◇歯のセルフケアを
悪玉菌の体内への侵入を防ぐには、口腔(こうくう)ケアでの除去が必要。ただ、歯ブラシで歯の表面や、フロスで歯間を掃除するだけでは不十分だ。口内で歯が占める表面積は25パーセントで、残り75パーセントの歯茎や舌、頬などの粘膜にも細菌は付着している。
「洗口液や液体歯磨きなどのマウスウォッシュは、歯ブラシやフロスが届かない口の隅々に行きわたり、悪玉菌を殺菌します。毎日のセルフケアは、歯ブラシ、フロス、マウスウォッシュの3本立てを基本に」。毎食後でなくともよいが、就寝前は丁寧なケアを心掛けたい。
また、細菌が集まって膜状になったものを「バイオフィルム」という。「口内のバイオフィルムである歯こうは歯磨きで落とせますが、これが固くなった歯石はセルフケアでは落とせません。歯科医や歯科衛生士による定期的なプロケアで除去するとよいでしょう」と福島院長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/03/20 05:00)
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