治療・予防

男性も性被害者に
~対価型、潜在化しやすく(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 山田浩史副部長)~

 旧ジャニーズ事務所を巡る性加害問題は、男性も性被害者になり得ると認識するきっかけにもなった。性被害者の支援に当たる日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院(名古屋市昭和区)泌尿器科の山田浩史副部長は「男性の性被害には例えば上下関係を利用したり、何らかの条件を提示して行為に及んだりする対価型被害の報告があります」と話す。

性被害に遭った際の相談先

 ◇1年以上たって相談

 同院では「なごみ」の名称で、性暴力救援センターを設けている。2016年1月~23年3月に男性から159件の電話相談があったが、このうち来所したのは27件。女性からの連絡は2000件以上で半数近くが来所しており、男性は特に支援につながりづらいことが分かる。

 「男性は女性と違って被害から72時間以内の緊急避妊処置を必要としない上、何が自分に起きたのかを整理するのに時間がかかり、相談までのハードルが非常に高い」。実際に電話をしてきた男性は大半が被害から1年以上経過。10年以上の例もあった。「相手を訴えたくても、長時間がたち証拠が取れないのが実情です」

 被害直後なら肛門や咽頭、衣類などに残った加害者の精液や唾液、体毛を採取してDNA鑑定に回せる。被害に遭ったら入浴、着替え、排便などをせずに警察や支援センターへ連絡する点が肝心だ。

 ◇多い未成年の被害

 病院では性感染症の検査、外傷の治療もするが「話を聞いて精神的なダメージをケアする場合が多いです」。被害場面が不意によみがえる「フラッシュバック」に苦しむ、女性との恋愛に踏み込めない、男性への恐怖心が芽生える、上司から被害を受けて職場に行けなくなるなど、生活に支障が生じるケースは少なくない。

 また、なごみへの男性来所者のうち半数以上は未成年で、近親者からの被害が多いという。周囲の大人は、子どもの年齢にふさわしくない性的な言動を目にしたら、性被害を疑うことも必要だ。

 被害者に対して山田副部長は「あなた自身は何も変わっていません。今まで通り生きる権利があります。被害を受けたとき、仮に射精したとしても相手を受け入れたわけではありません。単なる体の反応でしかありません」と話している。

 なごみのような性暴力被害の支援センターは全国にあり、#8891(はやくワンストップ)に電話をすれば、最寄りのセンターにつながる。センターでは警察や弁護士事務所への同行支援も行う。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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