ジャニーズ事務所の元所属タレントの男性が故ジャニー喜多川前社長からの性被害を訴えていた問題で、藤島ジュリー景子社長が動画で謝罪した。同事務所に詳しいジャーナリストや、男性の性被害に詳しい識者からは15日、「第三者委員会を設置して調査すべきだ」などと厳しい声が上がった。
 ジャーナリストの松谷創一郎氏は「これまでは喜多川氏のオーナー経営で、問題が表沙汰になっても姉の故藤島メリー泰子氏以外進言できる人はおらず、黙殺されていた」と、問題点を指摘。「(2人が亡くなって)経営体制が変わり、インターネット上で批判が相次ぐなど、世論の高まりが影響したのだろう」と、異例の謝罪に至った経緯を分析する。
 藤島社長は「問題がなかったとは思っていない」としつつ、喜多川氏に確認できないことを理由に、性加害の事実の認定は避けた。これについて松谷氏は「集団訴訟への発展を恐れてか、曖昧な対応だ。被害者はどの程度いるのか。以前から指摘されてきたのになぜ放置したのか。第三者委を立ち上げて調査すべきだ」と語気を強めた。
 男性の性被害を研究している臨床心理士の宮崎浩一氏によると、男性は性被害を認めるのが難しい傾向があるという。ただ、2017年の刑法改正により、強制性交罪の被害者に女性だけでなく男性も含まれるようになったことや、性被害を公表する「#MeToo」運動の広がりなどにより、「男性の性被害もあり得るということが社会一般に認知されるようになってきた」と指摘する。
 その上で「公表した人たちの声をきちんと受け止め、個別の問題と捉えるのではなく、社会を変えていくことが私たちの責任だ」と強調した。 (C)時事通信社