治療・予防 2024/11/21 05:00
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近年、痩身(そうしん)願望を満たすダイエット目的で糖尿病治療薬や肥満症治療薬などを使用することが問題視されている。健康上の問題がある他、必要な患者に十分な量が行き届かないためだ。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)糖尿病・内分泌内科の綿田裕孝教授は「医学的に見てリスクしかありません」と警鐘を鳴らす。
副作用や将来的な健康問題のリスクに
◇指導の有無は不明
食欲を抑制したり尿と一緒に糖を排出したりする糖尿病治療薬の副次的な効果として体重減少が期待できるため、ダイエット目的での使用が広まったとみられている。肥満症治療薬などについても同様だ。
ただ、どんな治療薬にも副作用がある。「吐き気や嘔吐(おうと)の他、胆のう炎や膵炎(すいえん)といった重い副作用も起きる可能性があります。糖尿病患者でも起こり得ますが、糖尿病ではそれらの副作用を効果が上回るとのデータがあることから治療薬として使用されています」
糖尿病専門医は食事や運動療法の指導、効果と副作用を比較しながら薬剤の変更や量の増減を行う。一方、ダイエット目的での使用については、「糖尿病専門医を受診しないため、こうした細かい指導やケアが行われているのかなどの実態は把握できません」
◇将来的な健康リスクも
糖尿病や肥満症などと診断されず、痩身願望だけで取り組むダイエットは、「特に若い女性が長期にわたり過度なダイエットを行うと、将来の骨粗しょう症リスクが高まる点などが明らかになっています」。
今年は、新たな糖尿病治療薬や内臓脂肪減少薬(市販薬)が販売される予定。それに先駆け、昨年11月、日本糖尿病学会は糖尿病治療薬の一つ、GLP―1受容体作動薬などの適応外使用に対し、「不適切な薬物療法によって患者さんの健康を脅かす危険」があるなどとして、一部の医療機関が公的医療保険の対象とならない自由診療で行っている、ダイエット目的での処方に警告を発した。同様の警告や注意喚起は日本医師会や厚生労働省も行っている。
「もしダイエット目的での使用をしていて、体調に異変を感じたら、すぐに使用をやめ早めに一般内科を受診してください」と綿田教授は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/05/07 05:00)
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~血液がんのホジキンリンパ腫(国立がん研究センター中央病院 伊豆津宏二科長)~