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緑茶に含まれる渋み成分のカテキンを、虫歯予防に使われるフッ化物(フッ素を含む化合物)と併用すると予防効果が高まる―。そんな実験結果を、東北大学大学院歯学研究科の口腔(こうくう)生化学分野の高橋信博教授らの研究グループが報告した。
カテキンで虫歯予防
◇酸で歯が溶ける
口の中の細菌が歯の表面に付着し、塊となったのがプラーク(歯こう)。プラーク中の細菌が、口腔内の糖分を分解して酸を作り、歯の表面を溶かして虫歯ができる。
ただし、すぐに虫歯になってしまうわけではない。「だ液により、糖分や細菌が作る酸が洗い流されたり、溶け始めた歯の表面が修復されたりします。しかし糖分を頻繁に取ると修復が追い付かなくなり、虫歯ができてしまいます」と高橋教授。
虫歯を放置すると「痛みが出たり、歯を失ったりすることで食生活が困難になり、歯の神経の感染と炎症から、心筋梗塞や脳梗塞などの全身性の病気のリスクも高まるとされています」。
◇酸産生を強く抑制
研究グループはこれまでに、カテキンが細菌の酸の産生(酸産生)を低下させることを明らかにしている。今回、カテキンにフッ化物を組み合わせた場合の細菌の酸産生を調べた結果、虫歯に関連するミュータンス菌による酸産生は、カテキン単独でも抑えられたが、フッ化物を組み合わせるとより強い抑制効果があった。虫歯ができやすい酸性の環境では、この働きがさらに強くなることも示された。
「糖分の多い清涼飲料水よりカテキンが豊富なお茶を飲んだ方が、虫歯予防の面で良いでしょう。ただし、今回分かったカテキンの効果は、試験管内の実験によるもの。今後、人で研究を行い、虫歯発生をどれだけ抑制できるかを明らかにする必要があります」
虫歯予防の特効薬はない。歯磨きによるプラークコントロール、フッ化物の塗布やうがいを励行することや、糖分を頻繁に取り過ぎないことが重要だ。高橋教授は「かかりつけ歯科医師による定期検診と口腔ケアを受けることも大事。虫歯が進行すると、自然には治りませんので注意が必要です」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/05/10 05:00)
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