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高齢者は一般的に中年の人に比べ、体格指数(BMI)が大きい人の方が死亡リスクは低いと考えられている。心身の能力が低下したフレイルの高齢者はBMIが高いほど死亡リスクが大きく下がることが、早稲田大学スポーツ科学学術院(埼玉県所沢市)の渡辺大輝助教らの研究で分かった。
フレイルの有無と死亡リスク
◇BMIとフレイル
BMIは、体重を「身長×身長」で割った値(単位はキログラム/平方メートル)。18.5未満は「痩せ」、18.5以上~25.0未満は「普通体重」、25.0以上は「肥満」と判定される。
「死亡リスクは普通体重の人で低く、痩せの人と肥満の人で高いU字形を示します。ただし、死亡リスクが最も低くなるBMIは、中年では22程度ですが、高齢者ではそれより高い値になることが報告されています」
フレイルとは、将来の早期死亡や介護認定のリスクが高い状態で、死亡リスクを高めることが知られている。そこで渡辺助教らは、高齢者のBMIと死亡リスクの関係がフレイルの有無で異なるかを検討した。
◇フレイル改善を優先
京都府亀岡市では、地域に住む高齢者の介護状態を観察する研究が2011年から行われている。渡辺助教らは、参加した1万912人(平均年齢74歳、約44%がフレイル)を約5年間追跡したデータを解析した。
その結果、フレイルでない高齢者では、BMIが上がるにつれて死亡リスクが下がり、23~24で最も低くなり、それ以降は上昇傾向に転じた。フレイルの高齢者の死亡リスクは、BMIが高くなるほど、ほぼ直線的に低下した。ただし、フレイルになったことによる死亡リスクの上昇の方が影響がより大きいことも分かった。
渡辺助教は「フレイルでない高齢者は、BMI23~24を目標に体重を調整することを勧めます。フレイルの高齢者は、その改善に優先的に取り組んでほしいですが、難しい場合はBMIを高くすることを考えるとよいでしょう」
フレイルの改善方法は「その状態になった原因に応じ、適切な栄養補給、身体活動、社会的活動あるいは口腔(こうくう)機能を良くするよう努めていただきたいです」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/07/09 05:00)
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