治療・予防

聴覚の衰えに注意
~補聴器、食習慣改善で認知症予防(日本食育協会 本多京子元理事)~

 普段見ているテレビの音量を上げるようになったら、それは耳の衰えの始まりとされる。聴覚の低下は認知症やうつ状態の引き金にもなるが、補聴器の使用、毎日の食生活の見直しで老化を予防することができる。NPO法人日本食育協会(東京都渋谷区)元理事で管理栄養士、医学博士の本多京子さんに聞いた。

耳が衰えると情報量が減る

 ◇耳からの情報が脳刺激

 年を取ると衰えるのが、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感。中でも聴覚が衰えると脳に入る情報量が減り、脳自体の働きも低下するので要注意だ。家族との会話が減ったり、人と会うのがおっくうになったりし、それがうつ状態や引きこもり、認知症につながることもある。「聞こえ方に不便を感じたら、耳鼻咽喉科を受診してください」

 必要に応じて補聴器を使うことも考えたい。近年は騒音がする場所でも会話が聞き取れるなど、補聴器の機能が向上している。補聴器を使うと認知機能の低下を抑制するとの報告もある。

 「会話が聞き取れなくなると、人との付き合いも薄くなりがちです。操作方法を覚えやすい年齢のうちに補聴器を試してみるのもいいでしょう」と本多さんは助言する。

 ◇血管の老化防ぐ食事

 動脈硬化などの生活習慣病があると、脳の血流が悪くなり、聴覚の機能に影響を及ぼすとされる。「血管を若々しく保つには、食習慣に気を付けることが重要です」。特に血管を老化させる原因となる、塩・砂糖・油脂の取り過ぎに注意したいという。

 ただし、この三つが味の決め手にもなり、減らすとおいしく感じなくなるという人も多い。そのため本多さんは、必須脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が豊富な青魚を黒酢で煮る、ブロッコリーとツナをあえるなどの調理法で、塩、砂糖、油脂の取り過ぎを抑える工夫や、サラダのトッピングにアーモンドなどを散らし、パリパリした音で脳に刺激を与え、よくかみ、食べ過ぎを防ぐなど工夫するよう勧める。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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