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子どもたちが手術疑似体験
~日本外科学会がイベント開催~

 手塚治虫の名作漫画「ブラック・ジャック」やテレビ、映画の「ドクターX~外科医・大門未知子」など、外科医が活躍する作品は多い。日本外科学会は11月、東京の日本科学未来館で小学生や中学生らを対象に、手術(オペ)を疑似体験してもらうイベント「オペスル」を開催した。親と共に参加した小学生らは「面白かった」「手術って難しいんだね」などと、楽しそうに話していた。将来、外科医の道を志す子どもたちも出てくることを同学会は期待している。

ロボット手術をシミュレーターで体験

 ◇ロボット手術が人気

 人気を集めたのはロボット手術のシミュレーターだ。ロボット支援下手術は現在、急速に普及しつつある。この体験は事前の参加登録が必要だったが、3日間で約700人の申し込みがあったという。

 3D眼鏡を掛け、両手で機器を操り、画面上の赤、黄色、青のペグを所定のトレーに移す。制限時間は1分。担当の現役医師から「意気込みは」と聞かれた女子小学生は緊張気味だった。結果は43秒。医師は「素晴らしい」と褒め、周囲から拍手が湧いた。

 ◇「面白い」

 電気メスはペン型の手術器具で、先端から高周波の電流が流れる。金属のメスだと細い毛細血管を出血させる恐れがあるが、血管を熱で凝固することで出血を抑え、スムーズに組織を切開できる。医師が豚肉を使って電気メスを実演した後、体験した男子小学生は「うわあ、面白いね」と喜んでいた。

 腹腔鏡手術はおなかに0.5~1センチほどの穴を開け、細長いスコープを入れる。スコープには小さなカメラが付いていて、医師はおなかの中の様子を見ながら手術を行う。大腸がんでは、約8割が腹腔鏡手術だという。

 気管挿管は手術中や息ができない状態に陥った人の呼吸を補助するために、口から喉(気管)に管(チューブ)を入れる。チューブには人工呼吸器などの機械が接続されている。参加者は口を開けた人体のモデルを使い、体験した。

糸結びは少し難しそうだ

 ◇基本技術の糸結び

 ロボット手術とは対照的なのが、縫合体験の糸結び。手術における基本的な技術で、外科医が訓練を重ねて習得する人の手による技術だ。胃や肝臓などの血管を糸で結ぶことにより、出血を防ぐ。

 優しく、同時に速くやることがこつだというが、難しい。1回目でうまくいかなかった女子小学生は再度挑戦。「頑張れ! 良い調子だよ」という医師の言葉に励まされ、成功した。

 同学会の情報広報委員の山本健人医師は「学会としては初めての企画でしたが、多くの子どもたちが楽しんでいる様子を見て感無量でした。将来、彼らが外科医になって一緒に働く未来が来ることを願っています」と話した。(鈴木豊)

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