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体内の鉄分が不足することで起こる「鉄欠乏性貧血」は女性に多いイメージがあるが、スポーツをする思春期の子どもたちにも起こりやすいという。その原因や予防法などについて、日本医科大学付属病院(東京都文京区)小児科の植田高弘准教授に聞いた。
◇思春期には鉄が必要
思春期は、体が成長する時期で筋肉もつくため、鉄がより一層使われる。同時に学校の部活動も活発になり、女性では初潮を迎えることから、必要とされる血液量が増える時期でもある。
「特に、部活のスポーツに熱心な子どもは、自分の健康に自信があるため、貧血になるとは想像もしていませんし、学校の先生にも知識がないことが多い」と植田准教授。
競技中に足を踏み込む動作をすることで、足裏の毛細血管の赤血球が壊れて鉄が体外に出やすくなるといわれている。陸上やバスケットボール、バレーボール、テニスなど、さまざまな競技をしている子どもが体調不良を理由に受診すると、鉄欠乏性貧血と診断されることが少なくないという。
「貧血に伴ってスポーツのパフォーマンスも低下しますが、徐々に進行していくので、本人も気付きにくいのです」と、植田准教授は説明する。
◇肉や魚もしっかり
鉄欠乏性貧血になると、鉄剤の服用による治療が必要だが、フェリチンの値が戻るまでには3カ月程度かかる。再発予防には治療だけでなく、食事を見直すことも重要だ。
「体重制限のある競技では、野菜中心になりやすいですが、野菜に含まれている非ヘム鉄は3~5%しか体内に吸収されません。肉や魚に含まれるヘム鉄は30~40%が吸収されるので、バランスよくしっかり食べることが大切です。ビタミンCなど鉄分の吸収率を高める栄養素を含む食材と一緒に取りましょう」
朝練習を行う部活動では、朝食を食べずに行うと貧血のリスクが高くなる。足裏の衝撃を吸収してくれるシューズを選ぶなど、競技環境を整えることも重要だ。
「以前よりパフォーマンスが落ちた、踏ん張りが利かなくなったと感じたら、小児科を受診してください」と、植田准教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2017/11/21 11:24)
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