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思春期以降に発症することの多い「伝染性単核球症」は、キスなどの濃厚な接触によって伝染することから欧米では「キス病」とも呼ばれる。高熱や全身の倦怠(けんたい)感などの症状が特徴だ。大阪母子医療センター(大阪府和泉市)血液・腫瘍科の澤田明久副部長に聞いた。
▽唾液を介して感染
濃厚な接触でうつることから「キス病」とも。写真は中国で行われた七夕のキス・コンテスト(AFP=時事)
伝染性単核球症は、水ぼうそうや口唇ヘルペスなどを引き起こすヘルペスウイルスの仲間である「エプスタイン・バール(EB)ウイルス」が原因で発症する。多くの場合、乳幼児期に感染する身近なウイルスだ。
感染力は非常に弱いものの、例えば、母親が一度口に含んだものを乳児に食べさせるなど、唾液を媒介として感染する。30~50日の潜伏期間を経て発症する。
乳幼児期に感染してもほとんどは無症状だが、思春期以降に感染すると38~39度の高熱が2~4週間続くほか、全身の倦怠感や喉の痛み、首のリンパ節の腫れといった症状が表れる。まれに脳炎や、白血球が他の血球を破壊してしまう「血球貪食症候群」などの重い合併症を引き起こすこともある。
▽自己診断せず受診を
澤田副部長は「乳幼児期以降では15~24歳での感染が目立ちます。濃厚なキスに象徴されるような思春期以降の行動様式の変化も一因と考えられています」と指摘する。
感染が疑われたら、血中にEBウイルスの抗体があるかどうか調べる。EBウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬はまだない。また、EBウイルス感染者がペニシリン系の抗生物質を服用すると発疹が出るため使用は避ける。症状によっては解熱剤や鎮痛剤、ステロイド剤を使うが、基本的には安静にして自然に治るのを待つ。
澤田副部長は「熱があるからと家にある抗生物質を飲み、全身に発疹が現れて驚くケースがあります。高熱が続くような時は自己判断を避け、内科を受診してください」と注意を促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/11/18 06:00)
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