治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
1956年にプラダーとウィリーという2人の医師が報告したプラダー・ウィリー症候群。乳幼児期から肥満や低身長が目立ち始め、その後、性格や行動などの面で問題を伴うようになる。原因は先天性の遺伝子異常で、1万~1万5千人に1人の頻度で発症するといわれている。
独協医科大学越谷病院(埼玉県越谷市)小児科の村上信行准教授は「年齢とともに症状を変えていくのが特徴。遺伝子検査で新生児期に診断でき、早期からの食事療法や運動療法の他、成長ホルモンを使った治療が成果を上げています」と話す。
◇血液検査で診断
症状は多岐にわたり、新生児では筋緊張の低下や乳の飲み込み不良、際立って白い肌、性器の形成不全などが表れる。乳幼児期以降は過食による肥満や低身長、筋力の低下。学童期以降はかんしゃくを起こしやすく、こだわりの強い性格。思春期以降では性ホルモンの分泌が活発化して大人の体つきになる二次性徴が来ないことや、親を困らせる問題行動などが見られるようになる。
村上准教授によると、通常、首が据わるのが生後4カ月前後、歩き始めるのが12カ月前後なのに対し、プラダー・ウィリー症候群の乳幼児ではそれぞれ8カ月以上、3年以上かかる場合もあるという。
先天的な異常により、脳の視床下部の機能に障害が起き、食欲や情緒、性発育などに関する脳からの指令がうまく伝わらないことが原因だ。血液を使った遺伝子検査によって、ほぼ100%の確定診断が可能だ。
◇肥満防止が肝要
治療の中心は食事療法と運動療法で、成長ホルモン補充療法なども行われる。症状では、特に肥満が顕著になる。「自分では食欲をコントロールできず、いくら食べても満腹感が得られない。親による食事制限に加え、体重管理のために水泳などの運動も大切です」と村上准教授は説明する。
低身長には成長ホルモンの注射が用いられ、これは肥満や筋力低下の改善にも効果的だという。性腺機能の発達の遅れには性ホルモン補充療法が行われることもある。
「成長ホルモン補充療法は現在、身長が基準に達していない場合にのみ可能です。大切なのは、早い段階で確定診断し、食事療法と運動療法で肥満防止に努めることです。肥満は将来的には糖尿病につながり、心臓や呼吸器などに大きな障害を招きます。プラダー・ウィリー症候群の子を持つ親の会があるので、そこで情報を得ることも勧められます」と村上准教授はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2016/11/25 17:24)
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