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ここ数年、三大栄養素の一つである糖質を制限することで、比較的短期間に痩せられるというダイエット法が話題だ。しかし、それは本当に正しい方法なのだろうか。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)糖尿病・内分泌内科の綿田裕孝教授に聞いた。
バランス取れた食事で標準BMI維持
▽体のエネルギー源
炭水化物は糖質と食物繊維とに分かれ、糖質には果物に多く含まれる果糖やブドウ糖などの「単糖類」、牛乳に含まれる乳糖や砂糖などの「二糖類」、米飯に含まれるでんぷんなどの「多糖類」がある。糖質は体を動かすエネルギーで、中でもブドウ糖は脳のエネルギー源になり、不足すると意識障害を起こす危険もある。
厚生労働省が取りまとめた「日本人の食事摂取基準」では、食事の三大栄養素の摂取バランスについて、糖質を含む炭水化物がエネルギー比で50~65%、タンパク質が同13~20%、脂質が20~30%を目標量として定めている。炭水化物の具体的な量について綿田教授は「日に最低130グラムは取った方がよいでしょう」と話す。これは1食当たり約50グラム以下で、米飯なら小さなおわんに1膳ほどの量だ。定食屋などでは1膳が150~200グラムになる。
▽BMI維持が重要
糖質制限ダイエットについて綿田教授は「最低限の糖質を取ることができれば悪い方法ではありません。しかし、糖質制限以外にダイエット法はあり得ないという行き過ぎたメッセージが目立ちます」と危惧する。
糖質を取らずステーキなどでエネルギーを補おうとしても限界があり、結果的に食事量(カロリー)が減るというのがこのダイエットの仕組み。カロリー制限の方法としては悪くはないが、長続きしない人が多い。炭水化物が好きでやめられない人が多く、糖質抜きの食事に掛かる費用も高くなりがちで、綿田教授らによる臨床試験でも、試験終了後に大勢の参加者の体重が元に戻った。
厚労省が勧めるのが、体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数(BMI)を標準範囲に維持できるようバランスの取れた食事を取る方法だ。BMIの標準範囲は18.5~25未満で、25を超えると肥満とされる。
綿田教授は「長期的にも糖質制限ダイエットがよいとのデータはありません。糖尿病やその予備軍の方は糖質を取り過ぎないことが望ましいのですが、糖質制限が糖尿病の標準治療ではありません。糖質を適度に取り、標準BMIを維持するのが一番です」とする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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