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加齢に伴い筋肉量が減り、筋力が低下する「サルコペニア」は、痛みなどの自覚症状はないが、進行すると寝たきりになる可能性もある。大阪労災病院(堺市)リハビリテーション科の夏梅隆至部長に、自己診断の方法と予防について聞いた。
横断歩道を一度の青信号で渡り切れるかが一つの判断材料に
▽歩行速度と握力を確認
下半身の筋力が弱ると、歩くスピードが遅くなるばかりでなく、歩行が困難になる。年のせいとほっておくと転倒しやすくなり、骨折から寝たきりになるリスクもある。また、喉の筋肉が衰えると、嚥下(えんげ)機能が低下して飲食のたびにむせやすくなり、誤嚥性肺炎を起こしやすくなる。年とともに痩せてきたという場合は、全身の筋肉量の減少が考えられるという。
「サルコペニアは、筋肉の状態から自分でチェックできます」と夏梅部長は話す。一つは歩行速度だ。基準となる速さは秒速0.8メートル。横断歩道を一度の青信号で渡り切ることが困難な場合は、サルコペニアの可能性が高い。もう一つは握力。男性は26キログラム未満、女性は18キログラム未満だと、全身の筋力が低下している可能性がある。ペットボトルのふたが開けづらくなったり、よく物を落とすようになったりしたら、握力低下を疑った方がいいかもしれない。
▽毎日の運動で筋力維持
夏梅部長は、サルコペニアの予防にレジスタンス(抵抗)運動を勧める。レジスタンス運動とは、文字通り筋肉に抵抗(負荷)をかけながら行う動作のことで、筋力の維持と向上が期待できる。
例えば、立った姿勢から椅子に座る動作(スクワット)を10~15回(1セット)繰り返す。手を頭の後ろで組み、脚は肩幅程度に開き、お尻を後ろに突き出すようにしてゆっくりと椅子に座り、また立ち上がる。姿勢が不安定になる場合は、壁などを支えにするとよい。膝が爪先よりも前に出ないことと、動作中は息を止めないことがポイントだ。また、あおむけに寝て一方の膝を曲げ、もう一方の脚を伸ばしたまま上がる高さまで持ち上げ、元の位置に戻す動作を左右10~15回ずつを1セットとして行う。スクワットと共に毎日1セットは行いたい。
夏梅部長は「筋肉を作り維持するには、タンパク質が必要です。食が細くなる高齢者では不足しがちになるので、肉や魚を積極的に食べることを心掛けてください」と促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/02/08 05:59)
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