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手のひらに大量の汗をかくため人と握手できない、テストのときに自分の答案用紙だけが汗でヨレヨレになってしまう―。手掌(しゅしょう)多汗症は、命に関わる病気ではないが、生活のさまざまなシーンで悩んでいる人は多い。加賀谷正クリニック(千葉県松戸市)の加賀谷正院長は「手汗のせいで仕事に支障が出る、学校に行きたくないなど切実に悩んでいる方は、専門の医療機関への受診をお勧めします」と話す。
一度、専門の医療機関を受診してみては
▽交感神経が過剰に反応
人間は暑かったり緊張したりすると、自律神経である交感神経が作用し、無意識に汗が出る。多汗症は、緊張するような出来事がなくても体の一部分に大量の汗をかく病気で、手のひらに汗が多いのが手掌多汗症だ。日本人などの黄色人種に多い傾向があるという。
加賀谷院長は「手掌多汗症自体を知らない医師も少なくありません。精神的なものだとか、汗っかきなだけと診断され、適切に治療されていない場合が多くあります」と指摘する。健康上の問題ではないため、どこで治療をすればいいのか悩んでいる患者も多いという。
手のひらに分布している交感神経が過剰に反応することが原因とされる。遺伝的な要素もあるが、家族内で1人だけ多汗症のこともあるという。
▽手術や水素イオンで治療
加賀谷正クリニックでは、手術療法と、手のひらを水に浸して弱い電気を流し、水素イオンで汗を抑制するイオントフォレーシスを中心に治療を行う。
手術療法は、脇を3ミリ程度切開して内視鏡を挿入し、手のひらの汗を調節する交感神経を切断する。日帰りででき、手術直後から汗は出なくなるが、副作用として背中や太ももなどの汗が増える代償性発汗が起こることがある。加賀谷院長は、交感神経の切断部位を必要最小限にすることで、代償性発汗をできるだけ起こさないようにする手術を行っている。
一方のイオントフォレーシスは、効果に個人差があり全く効かないこともある。効果がある場合も継続した治療が必要だが、大きな副作用がないのが利点だ。
加賀谷院長は「他にも内服薬やローションなど、補助的な治療を組み合わせて行うこともあります。一人ひとりに合った治療法が必ず見つかるはずなので、諦めずに相談してください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/08 06:00)
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